山県V締めも風に泣く 向かい風5メートル超えで悲願9秒台ならず

 「福井国体・陸上」(6日、9・98スタジアム)

 陸上の成年男子100メートルで、個人レースの今季最終戦に臨んだジャカルタ・アジア大会銅メダリストの山県亮太(26)=セイコー=が向かい風5・2メートルの悪条件の下、10秒58で優勝。悲願の9秒台はならなかった。台風25号の影響により、無情にも一日中、強い向かい風が吹き続けた。この一年間、対日本人無敗で駆け抜けた日本短距離界のエースは、来季の9秒台突入を誓った。

 風の神様は、なぜか山県に厳しい。強烈な向かい風を切り裂き、ゴールを駆け抜けた山県だったが、10秒58の表示にさすがに苦笑いが浮かんだ。

 「ヤバかった。立っていられないぐらい。押し戻される感じがすごくあった」

 昨年、桐生祥秀が追い風1・8メートルで日本人初の9秒台をたたき出した「9・98スタジアム」。例年通りなら、海から吹く秋風で絶好の条件が整うはずだった。

 日本海に居座る台風25号の影響により、午前の予選から強烈な南風でのレースが続いた。100メートルのレースはすべて向かい風。成年男子100メートル決勝の5・2メートルが、この日最大の風速だった。

 山県は昨年9月の全日本実業団で日本歴代2位の10秒00を記録。今年8月のアジア大会で2度目の10秒00を出して銅メダルを獲得し、先月行われた全日本実業団では無風条件で10秒01だった。

 すべて追い風1・0メートル以下の条件。あとひと押しさえあれば、いつ日本人2人目の9秒台が生まれてもおかしくなかった。今回、広島県代表として挑み、カープのボクサーパンツを「カープ坊やのやつです。3連覇にあやかって」と勝負パンツに選んだが、最後も天に見放された。

 ただ、今季19レースで日本人に無敗。圧倒的な強さを誇示し続けた。「自分の中で成長を実感できた年。来年、再来年と記録を出すチャンスはまだまだある。しっかり9秒台、それ以上の記録を出していけたら。今がもう一皮むけるチャンス。この時期を乗り越えれば、大きな記録が待っている」。胸に宿るもどかしさを、来季の爆発的な飛躍につなげる。

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