白鵬1000勝&41度目優勝 前人未到の偉業に胸張る「唯一の人間になった」

 「大相撲秋場所・14日目」(22日、両国国技館)

 単独トップの横綱白鵬が、2敗の大関豪栄道を上手投げで退け、無傷の14連勝で史上初の幕内1000勝を達成すると同時に、自身の史上最多を更新する5場所ぶり41度目の優勝を決めた。さらにこれで13年連続優勝となり、12年連続の元横綱大鵬を抜いて単独1位となった。8場所連続休場明けの稀勢の里は、鶴竜との横綱対決を寄り切りで制し、引退危機脱出に大きく前進する10勝目(4敗)を挙げた。

 大横綱は健在だった。白鵬は3度目の立ち合いで右を差し左上手を取ると、強引に出てきた豪栄道を余裕たっぷりの上手投げで土俵下まで転がした。5場所ぶりの優勝に「うれしいですね」と安どの表情。前人未到の幕内1000勝目も同時に達成し「唯一の人間になったわけですから。最高の気持ちです」と頬を緩め、「未来の大相撲を目指す子供たちに大きな目標をつくれた」と胸を張った。

 記録以上に喉から手が出るほど欲しかった賜杯だった。今年4月9日、最愛の父ジジド・ムンフバトさんが肝臓の病気などのため76歳で死去。レスリングで64年東京五輪から4大会連続出場し、モンゴル初のメダリストになった。誰よりも尊敬する存在を失い、大きくショックを受けた。

 父に捧ぐ復活優勝を期したが、33歳になった体は満身創痍(そうい)。右膝には爆弾を抱えており、今場所も直前まで出場を迷った。「場所前も全然いい状態ではなかった。優勝したから言えるが。このままずっとケガに泣くんじゃないかと」

 それでも「今場所は(心身の)かみ合わせが合った」と百戦錬磨の集中力を研ぎ澄まし、徐々に状態を上げて1つ1つ星を重ねた。すでに自身ワーストの年間3場所を休場するなど、隠せない肉体の衰えと戦いながらの13年連続優勝は単独1位の大記録。「(12年連続優勝の大鵬は)やっぱりすごいと思いました」と話す言葉には実感がこもった。24日にはモンゴルに帰国し、故郷で眠る父にようやく優勝の報告をする。

 横綱800勝と幕内1000勝という場所前の目標をクリアした白鵬だが、まだまだ燃え尽きはしない。取材の最後には、少し間を置いてこう言った。「目指せ1001勝」。1日1番、横綱として最高の相撲を見せ続ける。

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