ラグビーＷ杯２０１９組織委員会と釜石市は３日、Ｗ杯に向けて唯一新設された釜石鵜住居（うのすまい）復興スタジアムを、１９日の竣工記念試合釜石－ヤマハ発動機に前にメディア公開した。

　同スタジアムは１１年の東日本大震災による津波で全壊・浸水被害を受けた鵜住居小、釜石東中の跡地に建設。今回は常設部分にあたるメインスタンドとバックスタンド６千席分が完成。Ｗ杯時には１万席分の仮設スタンドを四方に設置する。

　緩く弧を描くメインスタンドの屋根部分は、船の帆や、鳥の翼がデザイン化されたもの。新たな船出や羽ばたくことをイメージしている。

　座席は昨年５月に釜石市の尾崎半島で起きた森林火災で焼けたスギの木を利用している他、一部で東京ドーム、旧国立競技場、熊本県民総合運動公園陸上競技場から譲り受けたシートを“絆シート”として設置している。

　震災時に通学していた、鵜住居小、釜石東中の生徒約６００人は迅速に避難して全員が無事だった。復興スタジアムは防災避難のシンボル的なものであり市関係者は「教訓を後世に伝えたい」と話している。