川内 見せた世界一の経験値 完走80回超、遭難危機、マイナス17度激走糧にV

ゴールする男子優勝の川内優輝=ボストン(ロイター=共同)
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 「陸上・ボストンマラソン」(16日、マサチューセッツ州)

 伝統のレースがスタートし、初出場の“最強市民ランナー”川内優輝(31)=埼玉県庁=が、2時間15分58秒で日本人としては1987年大会の瀬古利彦以来31年ぶりとなる優勝を飾った。

 メジャーリーグが中止になるほどの異常な寒波に襲われたボストン。世界最古のマラソン大会もまた強く冷たい雨が降るコンディションで行われた。中盤から世界王者のキルイ(ケニア)が独走態勢。2番手集団も1人また1人と脱落していく中、ただ一人諦めなかった男がいた。川内だ。テレビ解説が「アメイジング!」「アンビリーバブル!」を繰り返す。35キロ地点では1分30秒あった差を残り2キロで逆転し、そのまま先頭でゴールテープを切ると、目をむき、咆哮した。

 他の追随を許さないマラソン経験が生きた。80回を超えるフルマラソン経験。2時間20分切りは78回でギネス記録にも認定された。今年元日のマーシュフィールド・ニューイヤーマラソンではマイナス17度の中、タイツを着て激走。完走者はただ1人の過酷なレースも経験した。

 かつては練習で山の中を走った際に遭難しかけたこともある。「7~8時間さまよった。水も食料もなくなって、崖に落ちそうになったり、熊に襲われる恐怖もあった」。最後は木に打ち付けられていたピンクのリボンを頼りに、何とか林道へと出た。「そこで悟ったんです。こうやって、まともに整備された道を走れるのは、何て幸せなんだと…」。培ってきたその走りは、タフな環境で世界一であることを証明した。

 レース後、極寒のコンディションにインタビュアーから「最悪のコンディションだった?」と問われたが「私にとっては最高のコンディションでした」と、笑った。

 すでに国際大会の日本代表から撤退している川内の今の目標は「百戦錬磨の川内と呼ばれること」。この男、やはり目が離せない。

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