宇野、涙の銀!右足甲のけが抱えながら攻めて執念の3枠キープ

 男子フリーの演技を終え、涙を流しながら歓声に応える宇野昌磨(共同)
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 「フィギュアスケート・世界選手権」(24日、ミラノ)

 男子で平昌五輪銀メダルの宇野昌磨(20)=トヨタ自動車=がフリー179・51点、合計273・77点で、ショートプログラム(SP)5位から逆転で2年連続の銀メダルを獲得した。友野一希(19)=同大=が自己ベストの合計256・11点で5位、田中刑事(23)=倉敷芸術科学大大学院=は13位。ネーサン・チェン(米国)が世界歴代2位の合計321・40点で初優勝した。23日は女子フリーが行われ、樋口新葉(17)=東京・日本橋女学館高=が銀メダル、宮原知子(19)=関大=が銅メダルを獲得。日本女子のダブル表彰台は安藤美姫が優勝、浅田真央が2位だった2007年以来11年ぶり。日本は男女ともに日本開催(さいたま市)となる来年の出場枠で最大3枠を確保した。

 転んでも転んでも心が折れなかった宇野に、ご褒美が待っていた。転倒は実に3度。それでも最後まで滑りきった。合計273・77点は銀メダルを獲得した平昌五輪の合計(306・90点)より30点以上少ない。だが、SPの上位陣が崩れたことで2年連続の銀メダルが舞い込んだ。

 「グダグダに見えるかもしれないが、僕なりに最後まで諦めずに持ちこたえた。最後まで滑りきれたという気持ちでいっぱい」

 右足甲の痛みを抱え、難度を下げたSPとは違ってフリーは五輪時と同じ4回転4本の構成。だが冒頭の4回転ループで転倒すると、続く4回転フリップも転倒。さらに後半の4回転トーループも転倒して…。だが、続く4回転トーループに2回転トーループをつけると、終盤の3連続ジャンプ、2連続ジャンプと成功。最後は息を切らし、万感の涙があふれ出た。

 強い責任感が原動力だった。五輪後に新調したスケート靴がなじまず右足甲を痛めながらも出場した今大会。一瞬だけ欠場を考えたのは練習を数分で切り上げたSPの前々日だった。

 「もしあの状態が続いたら、僕が出ることによっていろんな人に恥ずかしい思いをさせてしまう」

 宇野はどんなときでも真っ先に自分以外のことを考える。フリーの演技後、得点と順位を確認すると、隣に座る樋口コーチに「(世界選手権の出場枠)3枠取れた?」。日本スケート界のために力を振り絞って最大3枠を維持した。

 「あれ以上の演技をしろと言われても難しい。今回の結果はなるべくしてなった」。今大会をこう総括した20歳は、これで今季は主要国際大会すべてで銀メダル。来季こそ万全の状態にして、シルバーコレクターを返上したい。

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