小平日本女子初総合V!悲願金へ確かな手応え平昌でも1番

 「スピードスケート・世界スプリント選手権」(26日、カルガリー)

 快挙達成だ。小平奈緒(30)=相沢病院=が日本女子初、日本選手では1987年の黒岩彰以来30年ぶりとなる総合優勝を飾った。500メートルで36秒80の1位、1000メートルで1分13秒17の3位。両種目とも日本新記録でトップだった25日と合わせ、4レースのタイムを得点化したポイントで世界新の146・390をマークした。今季500メートルは国内外13レースで全勝。1年後に控える平昌五輪の金メダルに向け、視界は良好だ。

 最後の1000メートルを終え、電光掲示板で総合優勝を確かめると小さく何度も両拳を握った。客席から沸き上がった歓声に、小平は控えめに手を振って応えた。「500メートルと1000メートルの両方を滑れる総合力が求められる大会で優勝できて、うれしい」。一言、一言をかみ締めながら、穏やかな笑みを浮かべた。

 全く危なげない滑りを2日間で4本そろえ、日本女子初の快挙を遂げた。疲労が蓄積するシーズン後半戦。小平の動きは鈍るどころか、鋭さを増した。2月に入って世界距離別選手権、冬季アジア大会に続く3大会目。10日から2週間余りの間に500メートルと1000メートルを4度ずつ滑った。結果は1000メートルの2レースを除き全てトップ。500メートルで2度、1000メートルで1度、日本記録を塗り替えた。

 今季は、平昌五輪と同じ時期のこの連戦に照準を合わせてきた。日本でのアジア大会中から今大会を見据えて時差調整し、就寝と起床の時間を早めるなど周到な用意が実った。結城匡啓コーチは「方向性は間違っていない。(五輪の)金メダルに近い位置にいることを確かめられた」と納得顔で話す。

 競技の枠も超えて、心身を磨いた。上半身の使い方を学ぼうとレスリング女子の吉田沙保里と組み合って練習し、効果的な体幹の動きを知るために競輪場で自転車をこぐなど取り組みは数知れない。昨季までは2シーズン、本場オランダで単身武者修行。一時は不振に陥ったが、くじけずに今季の躍進につなげた。「ちょっと遠回りだったけれど、自分にとってはぴったりきている」としみじみ語る。

 1年後に向けて、確かな手応えをつかんだ。ただ、歓喜に浸るつもりはない。「いい記憶は、いいモチベーションにつながる。でも、興奮するのは早い。五輪で爆発させたい」。過去2度の五輪で個人種目は5位が最高。もう悔しい思いはしたくない。着実に力を伸ばしてきた遅咲きのエースは、平昌の頂点だけを見据えている。

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