沙羅、歴代最多に並ぶ53勝!驚異の勝率・596 平昌五輪へ弾みつけた

 「ノルディックスキー・ジャンプ女子W杯」(16日、平昌)

 平昌冬季五輪のテスト大会を兼ねて行われ、高梨沙羅(20)=クラレ=が99・5メートル、97メートルの合計215・1点で、1回目の2位から逆転して今季9勝目を挙げ、男子のグレゴア・シュリーレンツァウアー(オーストリア)に並ぶジャンプ歴代最多の通算53勝目をマークした。高梨は6シーズン、出場89試合目で大記録に到達。1年後に五輪が開催される舞台で好飛躍を見せ、本番に向けて弾みをつけた。

 53勝目の価値はともかく、悲願に向けて大きな一歩になるはずだ。男子の歴代最多に並んだことに高梨は「やっぱり舞台が違う。レベルも違う。一概にすごいことなのか自分でも複雑なんですけど、こういう記録を出せたのは自信になっています」。大記録をそれほど喜んではいなかった。会心の試合でもなかった。だが、この舞台で勝ったことに意味がある。

 「まさか勝てるとは思っていなかったので複雑な気持ちです」

 試合直後、こう振り返った。確かに1本目の99・5メートルは2位で、2本目の97メートルもコーチが思わず首をかしげた、成功とはいえないジャンプ。逆転優勝できたのは最後に飛んだ1本目トップのルンビー(ノルウェー)が94メートルと失敗に終わったから。だが、何度も中断するほど気まぐれな平昌の風にも集中力を切らさず2本そろえた。平昌五輪のジャンプ台を攻略できた。

 「風が強い中で自分を保つこと、やるべきことに集中できた。いいイメージを膨らませることを考えていました」

 前夜は伊藤に届かず2位。試合後、幼少時から指導されている父・寛也さんに連絡すると新しい板にすることを勧められた。「トライアル(練習)で新しいものを試して、ダメだったら元に戻せばいいと」。遅くなっていた助走の原因が板にあると判断。形状は同じでも滑りやすさを重視して吉と出た。今季も新しい助走姿勢に取り組むなど二人三脚で歩んでいる父のアドバイスも効いた。この日も2人前に2本目を飛んだ伊藤が111メートルの大ジャンプを決め、プレッシャーをかけてきたが、それも乗り越えた。

 89戦53勝、勝率・596。男女の比較はともかく、こんなジャンパーは世界にいない。ただ、驚異的なペースで勝ち続ける女王の心はまだ満たされていない。

 「正直言って53勝は意識していませんでした。まだ自分が勝ちたい試合に向けてピークに合わせることができていない。一番勝ちたい試合で結果を残せていない。そこが私の弱いところ。やるべきことに集中して準備を進めたい」

 53回勝つことよりも、欲しいのは五輪の金メダル。まずは今月末の世界選手権(フィンランド・ラハティ)で自分の弱さに勝ちたい。

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