女性ファン急増中“闘う女優”中野たむがファッション、プロレスを語る

 15年9月に旗揚げした女子プロレス団体Beginningが今注目を集めている。同団体の所属選手は、プロレスラーではなく、アクトレスガールズ(リングで闘う女優)と称され、他の女子プロ団体とは一線を画す。その名に偽りはなく、所属選手はみな、女優、アイドルなどとしても活動している。

 そのなかで、ただいま女性ファンが急増しているのが新人の中野たむだ。特に若年層からの支持が高い。プロレス、舞台にかぎらず、中野の活躍ぶりは多方面にわたり、23日発売の女性向けファッション雑誌「Soup」(株式会社スープ)では、「ヘア&メイクアーティスト佐野ヒカルさんの辛口ビューティレッスン」のコーナーに登場し、“キュート系モテメイク”に挑戦している。

 中野は3歳のときから、ダンスを習い、高校時代は演劇部に所属。舞台芸術を学ぶため、東京の専門学校に進学。卒業後はパフォーマーとなり、ダンスや舞台で活躍。12年には、「カタモミ女子」1期生として、アイドル活動を開始。その後、同ユニットのメンバー3人とともに、「info.m@te(インフォメイト)」を結成したが、昨年5月に活動休止した。

 そんな折、同月に行われた「アクトレスガールズ」の舞台に振付兼演者として参加。そこで見た、安納サオリ対万喜なつみの団体ツートップによる試合に、「闘う女の子って、こんなに人の心を動かせるんだ」と感動。ちょうど、タイミングよく、団体側からオファーを受けた中野は「今までより、もっと人に感動を与えたい」とプロレス入りを決意し、練習生となった。

 同時期に同団体のアドバイザーに就任した堀田祐美子に、その素質を見いだされ、同7月12日にデビュー。同8月26日にディファ有明で開催された大仁田厚率いるファイヤープロレス旗揚げ戦への出場メンバーに、わずか2戦目で抜てきを受けた。その後は全日本プロレス、超戦闘プロレスFMWなど他団体からのオファーが殺到。所属団体の興行は月イチながら、半年で早くも30試合近くをこなし、女子プロ界の実力者と対戦する機会も増えた。

 「今までより、もっとすごい世界でした。舞台には3歳から出て、人前に立つのは慣れているけど、リングの上は本当に恐怖感がすごいんです。『このまま死ぬんじゃないか?』って。でも、そこですべてを出し切ったとき、たくさんの方から『生きる勇気をもらった』『本当に感動した』とか言ってもらって、なかには泣いてくれた人もいて…。プロレスは想像してたより、もっと素敵な世界でした。いろんな選手と手合わせして、乗り越えたとき、『自分が強くなれた』と実感できるのが楽しい」(中野)

 中野がファッションにはまったのは、プロレスを始めてからだという。「以前は結構ダサかった。ファッションに興味はあったけど、それに時間とお金をかけるより、演技の技術やダンスのスキルを上げたいと思ってた」。ファッションに目覚めたのは、心に潜んでいた“変身願望”からだった。

 「女の子には変身願望があると思う。『少女漫画の主人公になりたい』とか『お姫様になりたい』とか。私はプロレスを始めて、リングに上がったとき、それがかなったんです。コスチューム着て、ヘアセットして、リングに上がると、本当に違う自分になれた。今まで何度も舞台に立ってきたけど、それとは全く違う感覚だった。セーラームーンとか闘う女の子にあこがれていたのもあるけど、リングに上がって、違う自分に出会えて、それをたくさんの人が楽しんでくれるという現実があって、そこからプライベートでも、おしゃれに興味が湧いてきました。かわいいスカート履いたり、髪を編んだりしたら、少女漫画のヒロインになれる。普通の格好でリングに上がっても、たぶん闘えない。あのコスチュームで、お団子ヘアにしてるから強くいられる。リング上で強くいられるからこそ、ふだんはかわいい格好したい。少女漫画のヒロインでいたいし、その気分で生きてたら幸せを感じるし、その女の子が幸せだったら、周りもきっと幸せだと思う。それに幅広く楽しみたい。今日はかわいい格好、次の日はクール系、その次の日は破天荒なファッションという感じで…。そうすれば、毎日違う自分になれるし、それを追求していきたい」(中野)

 中野は最近インスタグラムを始めたが、そこでプライベートなファッション、メーク、メーク道具に関する投稿をしたら、若い女性から、多くの反響が寄せられるようになり、“ファッションリーダー”的な存在になりつつある。

 「アイドル時代から、男性ファンばかりで、女性はほとんどいなかったのですが、インスタグラムを始めてから、たくさんの女性の方から“イイネ”を押してもらったり、コメントをもらったりで、自分でもビックリしています。私はガタイがよくて、それで悩んでる女の子も多いと思う。ガタイがよくても、かわいくなれるし、その子なりのかわいさが出る。だから、私はガタイがよくても、もっとかわいくなれるというところを発信していきたいし、共感してほしい」(中野)

 プロレスの目標について、中野は「アクトレスガールズを、もっとたくさんの人に見に来てほしい。そして、後楽園ホールに進出して満員にするのが目標。私のツイッターやインスタグラムを見て、共感してくれた方には、実際に足を運んで試合を見てもらいたいです。それで、生きる希望や勇気を感じてもらえたらうれしいです」と話した。

 17年はまだ始まったばかりだが、ファッション界をも巻き込んで、女子プロ界に中野旋風が起こるかもしれない。

 なお、Beginning次回興行は、2月12日(日)新木場1st RING(12時開始)。

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