香川・甲斐『心の準備』怠らず引っ張る
【香川・甲斐弘樹内野手】
香川が初参加した社会人野球公式大会、第44回JABA四国大会で、甲斐弘樹が輝きを放つ。
三菱重工名古屋戦(6日、四国コカ・コーラ丸亀)で適時打を。かずさマジック戦(7日、レクザム)でも3安打を放ってみせた。
6年目、2010年の独立リーグ日本一を知る選手はいまや、甲斐1人である。過去には挫折も経験している。13年、チャンピオンシップ第3戦を前に、西田真二監督から「もう1回、下から這い上がって来い!」と練習生落ちを告げられた。
「自分のなかで甘えてた部分があったなって。その当時は気付かなかったんですけど、年数重ねていくと『あのとき、ちゃんとやっとけば……』という後悔も、ちょっとずつあるので」
しかし、その挫折が意識の変化へとつながっている。守備のスーパーサブではなく、大原淳也(元DeNA)が抜けたあとの正遊撃手として。投手から「甲斐が守ってくれたら安心や!」と言ってもらえる。そんな存在になりたい。
香川に来て変わったものと、今後も変えない『芯』のようなものがある。
高校卒業と同時に入団した5年前、『野球観』が大きく変わった。「考えてやっている」と思っていたプレーは行き当たりばったりでしかなく、細かい守備位置取りや状況ごとに変わる対応に「野球ってこんな難しかったっけ?」と困惑した。
当時の前田忠節コーチ(現・セガサミーコーチ)から教えられた守備の心得を、いまも大切にしている。
「『キャッチャーのサインを見て、こういう打球が来るんじゃないかと前もって準備しとかないかんぞ。それがないと、びっくりしたようなことになってエラーにつながる』。僕のなかで変えていないのは、その前田さんが言った『心の準備』の部分ですね」
そこだけは、今後も変えるつもりはない。
「一緒に内野を守ってる人を、もっと引っ張っていけるぐらいにならないと、自分のなかの成長もないな、と思うので」
内野の中心選手、さらにチームリーダーとして。強い自覚と責任感を胸に、開幕戦のグラウンドに立った。