田中は堅忍の末に打撃状態を上げ、２１日・阪神戦から１番に復帰した。「１番に戻れるように」との言葉を形にし、悲願の瞬間は“定位置”にタナキクが並んだ。

　球団史上初の偉業。喜びに浸りつつ、菊池が「これで終わりじゃない」と話したように、狙うは日本一の頂だ。タナキクコンビがチームの中心に君臨し、まだまだ駆け抜けていく。

　選手会長として初めて酔いしれる美酒。広島・会沢翼捕手が思う存分、喜びに浸った。

　今季から背負った重責。「いろいろプレッシャーが働いた」シーズン。遠征時には新井や石原と何度も食事に出掛け、チーム、個人のことを相談。助言を受ける一方で、気になったことがあれば個人個人に積極的に話し掛け、常に目を配り続けた。

　「強打の捕手」としての貢献度も計り知れない。厳しい他球団のマークに、死球は２桁を数えた。シーズン１３本塁打は球団歴代捕手最多。攻守で整理事項が多く、移動と試合が重なる日は新幹線の中でも相手の研究を行った。

　重圧から解放された右腕は、笑顔でベンチを飛び出した。大一番で見せた今季のベストピッチング。広島・九里亜蓮投手（２７）が歓喜の瞬間へ導いた。