広島・辰見「ちょっとびっくり」侍初選出 “ポスト周東”期待 井口監督「1点争う中で必ず必要」 今季代走でNPB記録27盗塁

 広島・辰見鴻之介内野手(25)が7日、侍ジャパンに初選出された。都内で「ラグザス アジアプロ野球チャンピオンシップ2026」(11月12~15日・東京ドーム)に出場する日本代表メンバーが発表され、井口資仁新監督(51)が名前を読み上げた。今季は代走盗塁のプロ野球記録を塗り替える27盗塁(全体は28盗塁)を記録。侍でも切り札として規格外のスピードで駆け抜ける。広島からは高太一投手(25)と佐々木泰内野手(23)も初選出された。

 “鯉のスピードスター”が日の丸を背負う。大きな期待を胸に、辰見は決意を新たにした。「自分の持ち味であるスピードを生かしたプレーをお見せできればと思います」。今季、セ界を驚かせた俊足を、世界でも発揮する決意だ。

 学生時代から日本代表はもちろん、地域代表や選抜チームにも選ばれたことはなかった。それだけに吉報が届き、「ちょっとびっくりしました。うれしかった」と素直な気持ちを言葉にした。メンバーは原則24歳以下またはプロ3年目までの若手が主体だが、25歳の辰見はオーバーエージ枠(29歳以下)で選ばれた。

 チームに欠かせない存在だ。シーズンを通して代走での盗塁を積み重ね、9月15日のヤクルト戦(神宮)で、代走盗塁のプロ野球新記録(26個)を樹立した。出番は試合の分岐点。すさまじいプレッシャーの中、相手バッテリーの警戒をことごとく切り裂いてみせた。

 今季は代走として27盗塁。全体で28盗塁を決めた。昨年の現役ドラフトで広島に移籍するまで、古巣楽天では3年間で2試合出場しただけで0盗塁。新天地で大きな花を咲かせた。侍ジャパンの井口監督は「ミーティングの中では勝ついろんなパターンを作りたいという意見が非常に多かった。最終的に1点を争った中で、辰見選手の足は必ず必要になってくる」と選考理由を説明した。

 辰見が、強い印象として記憶に残っている走塁がある。2013年のWBC2次ラウンドの台湾戦。九回2死一塁で鳥谷が決めた二盗だ。

 失敗すれば、試合終了となる極限の状況で決めた伝説の二盗。「当時はそこまで盗塁に興味がなかったけれど、あの走塁には本当に感動しました」と辰見。大きなプレッシャーを跳ね返した勇気と決断力は、今も脳裏に鮮明に焼き付いている。

 国際大会は未知の戦い。ペナントレースとは異なり、データや情報が限られる短期決戦だ。

 「シーズン中もデータがありながら、一番大事にしてたのはグラウンドに立ってからの感覚。データとかで頭でっかちになり過ぎないようにしていた。そこは生かせるんじゃないかなと思う」

 成功と失敗を積み重ねながら手にした自信。研ぎ澄ました感覚で一歩目を踏み出す。

 侍ジャパンでは、長く周東が代走の切り札としての役割を担ってきた。“ポスト周東”として期待を背負う若鯉。「持っている力を最大限に発揮できるよう、しっかり準備して頑張ります」。圧倒的なスピードで、日本に勝利を引き寄せる。

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