広島・菊池 直前凡退「むかつくなー!」から豪快決勝5号 不本意なシーズン「集中しないで野球をやる人なんていない」
「広島3-1中日」(31日、マツダスタジアム)
広島の菊池涼介内野手(36)が決勝の勝ち越し5号ソロを放ち、苦境のチームを勝利に導いた。負ければ5月9日以来の最下位転落となっていた一戦で見せた終盤の逆転劇。後半戦の白星発進に新井貴浩監督(49)も「良いスタートが切れた」とうなずいた。勝負どころで発揮した底力を足がかりに、鯉が真夏の戦いで浮上を目指していく。
スタンドで揺らめく無数のうちわの動きが止まった。豪快なスイングから放たれた飛球。暑さも忘れて観客たちはボールに目を奪われた。大入りとなった後半戦初戦のマツダで鯉党の歓声が湧き上がる。会心の一撃を菊池が放った。
「場面的には思いっきりいって良いと思って、割り切りで振っていった」。七回に相手の失策で同点に追いつき、1-1で迎えた八回1死。カウント3-1から橋本が投じたフォークを捉えた。打球は瞬く間に左翼席へ。「たまたま入ったってくらいの感覚」といつものように謙遜しながらも、勝負強さの詰まった勝ち越し5号ソロとなった。
0-1の六回1死三塁では高橋宏の前に空振り三振に倒れ、絶好の得点機で結果を残すことができていなかった。「本当にめちゃくちゃ悔しかった」。感情は表に出さない中でも「むかつくなー!絶対に次打ってやろう」という燃え上がる思いがあった。その全てを一振りに込めた結果のスタンドインとなった。
この一発に新井監督も「本当、見事な一振りでした」と評価。「キクもその前の打席はチャンスで悔しかったので、『次やり返してやろう』という気持ちがあったのではないかと思います」と背番号33の気持ちをおもんばかった。
チームは前半戦を5位で終えていた。3連勝が開幕カード以降、生み出せていないという厳しい戦いで、この日は敗れれば、中日と入れ替わる形で最下位に転落する危機に直面していた。さらにグラウンド外では後半戦開幕前日の7月30日に矢野と前川が警察の家宅捜索を受けた。羽月元選手が「ゾンビたばこ」と呼ばれる指定薬物エトミデートを使用したとして有罪判決を受けた事案が今も尾を引いている。
不本意な形で注目を浴びる形になってしまっているが、ひたむきに勝利を求めて進んでいく姿勢は変わらない。菊池は「(プロ野球選手で)集中しないで野球をやる人なんていない。みんな、集中してダメだった、良かったっていうことの繰り返しだと思う」と言った。チームとして個々が見据えるものは同じ。3位・ヤクルトとは5差になった。ただ、上だけを見てプレーしていく。
