広島・矢野 “福地流”珍練習で打力向上 「来年は、やり返すことがテーマ。そこだけ」スタンドティーで3方向×3種類打ち分け
広島・矢野雅哉内野手(27)が26日、一風変わった練習で打力向上を図る考えを明かした。11月の秋季キャンプ中、オフ期間の練習法について福地寿樹1軍打撃チーフコーチ(50)に質問。スタンドティーで9方向に打ち分ける珍しい練習を教わり、現在実践している。今季は112試合の出場で打率・208。“福地流”の新たな取り組みで巻き返しを狙う。
これまでの練習に変化を加え、新たなシーズンへの準備を進めている。矢野は今オフの打撃練習について「練習内容を変えていて、前から来るボールは全く打っていない」と明かした。
秋季キャンプ打ち上げの前日。オフの取り組みを福地1軍チーフ打撃コーチに尋ね、スタンドティーの導入を決めた。同コーチからはボールを9カ所に打つイメージを伝えられた。狙うのは右翼、中堅、左翼の3方向。それぞれの方向にゴロ、ライナー、フライと3種類の打球を打ち分ける、珍しい形式の“9カ所ティー”を続けている。
スタンドティーはメインの打撃練習前に行うことが一般的だが、矢野は1時間半ほどティー打撃に費やす。打ちたい方向を決め、正しいバット軌道を確認。狙い通りの打球を打つ感覚を体に染みこませている。「意識して各ポジションに打ち分けられるように。良くても3球連続とかしかできないので、毎日レベルアップできるように」と反復を誓った。
その練習は悪癖修正の意味合いもある。「僕の一番悪い打撃は、球に対する反応が早くなって体が開くこと。前から来るボールを打つと、どれだけやっても自分自身で感覚は分かりにくい部分があった」と自己分析。打者なら遠くに飛ばしたい思いも強くなるはずだが「もう、それはなくなりました」と言い切った。
昨季は137試合の出場で打率・260、2本塁打、38打点。自慢の守備力も生かして遊撃の定位置をつかんだ。だが今季は112試合で打率・208、1本塁打、19打点。三塁・佐々木、遊撃・小園の布陣が固定されて以降は出番が減った。
「強い打球を求めて今年に入ったけど、それをやり出したら自分の持ち味が全てなくなってしまう。今年がいい経験になった。ヒットを130本打つのなら、全部単打でもいいぐらいの打撃をしないといけない。そうしないと自分自身の価値が上がらない」。打撃を見つめ直し、持ち味を発揮するためのスタイルを明確にした。
9カ所に打ち分けるスタンドティーは1月末まで続けて、来春キャンプに備える。「来年は、やり返すことがテーマ。そこだけを意識してやっていく」と力強く宣言した矢野。理想の打撃を習得して、レギュラーの座に返り咲く。





