広島・新井監督 阪神に脱帽「顔ぶれを見てもこの強さはしばらく続く」 2年連続目の前で胴上げ許す 4連敗で借金最多「12」
「阪神2-0広島」(7日、甲子園球場)
広島が阪神に同一カード3連敗を喫し、目の前での胴上げを許した。昨年はマツダで巨人の優勝を許しており、2年連続でリーグ優勝を見届ける屈辱となった。新井貴浩監督(48)は悔しさをにじませた。チームも今季20度目の完封負けで4連敗となり、CS圏まで4ゲーム差に開く厳しい状況となった。
またあの光景だ。カープナインの前に広がるのは敵軍の歓喜の輪。数人の選手はベンチに残って胴上げを目に焼き付け、他の選手たちは大歓声が漏れ聞こえるベンチ裏で粛々と野球道具を片付けた。2年連続で目の前での胴上げを許し、新井監督は「去年も(胴上げを)見ているし、悔しい」と唇をかみしめた。
相手のシナリオ通りに進ませてしまった。先発・アドゥワが二回に先制を許し、打線は相手先発・才木の前に沈黙。プレーボールから異様な盛り上がりを見せた甲子園でカープナインと左翼スタンドの一角を埋めた鯉党は孤立した。結果的にロースコアの接戦となったが、指揮官は「力負けかな」と完敗を認めざるを得なかった。
優勝した阪神にはこれで今季6勝17敗。5月半ばからは10連敗を喫するなど、力の差は明白だった。「(阪神は)野手も投手も全部強かった」と新井監督。「中心選手に脂の乗った選手がたくさんいる。これは今年だけじゃなしに、去年、一昨年ぐらいから感じていたこと。顔ぶれを見てもこの強さはしばらく続くというふうに思わせるぐらい強い」と阪神の黄金期到来への危機感を抱く。
象徴的なのは攻撃陣の差だ。阪神打線は1~5番までほぼ固定され、下位打線に若手が入ることが多い。一方でカープは日替わり打線。この日は羽月をプロ初の3番に据えた。「今日スタメンで出る選手の中でどうやったらつながるのかなと考えて3番目に(羽月を)入れた」。指揮官の言葉からも苦悩の痕跡が伝わってくる。
これでチームは4連敗で借金は今季ワーストを更新する12になった。3位・DeNAとは4差に拡大。新井監督は日頃から「悔しさはずっと持ち続けなければいけない」と選手たちに説いている。この日、また新たな屈辱を味わってしまったが、現状に甘んじるわけにはいかない。まだCS進出の可能性は残されている以上、悔しさを力に変えるしかない。





