「広島３－２ヤクルト」（２０日、マツダスタジアム）

　金の卵の魅力が詰まったデビュー戦となった。背番号「１０」の一挙手一投足を鯉党が見守る。打って守って走って、どこを切り取っても華があるのは、さすがドラ１。広島・佐々木泰内野手は１軍デビューは３打数無安打に終わったが「楽しかったです」と充実した笑みを浮かべた。

　この日、１軍に初昇格し、いきなり「７番・三塁」でプロ初スタメン。注目の第１打席は１点リードの二回無死二塁だった。ランバートに対し、カウント１－１から外角の変化球を泳ぎながら右中間へ。打球はぐんぐんと伸び、プロ初安打かと思われたが、右翼・増田が好捕。「もう一押しできなければ安打にならないと痛感した」と頭を抱えて悔しがった。

　本拠地が一番の盛り上がりを見せたのは、六回１死二、三塁で迎えた第３打席だ。カウント３－２から低めのチェンジアップを拾い上げた打球は左翼ポール際へ。飛距離は十分だったが惜しくもファウルとなり、「日頃の行いです」と苦笑い。結果的に空振り三振に倒れ、場内からは大きな拍手が送られるも「まだルーキーだからだと思う。あれが『ああ～』となるくらいの一人前のプレーヤーになりたい」と力を込めた。

　プロ初安打はお預けとなったが、高いポテンシャルを発揮した一日となった。「歓声もすごかったし、本塁打を打ったら気持ちいいんだろうなと。早く打ちたい」と佐々木。期待の“泰砲”が堂々のデビューを飾った。