広島・常広「5球」大事に 立ち上がり改善へ練習から意識「いかに出力を上げられるか」 フォームも改良!1軍へ試行錯誤
広島・常広羽也斗投手(23)が試行錯誤の2年目を過ごしている。ウエスタン・リーグではここまで6試合に先発し、1勝4敗、防御率3・90。課題である初回の投球の改善と、フォームの改良に取り組んでいる真っただ中だ。高いポテンシャルを開花させるため、自問自答を繰り返し、1軍の舞台を目指していく。
投げる度に手する収穫と課題が、常広を成長させる。さらなる進化を目指し、試行錯誤の日々。今季のここまでを振り返り「まずはけがなく投げられてはいるので、そこはいいかなと思います」とうなずいた。
開幕ローテ入りを目指し、挑んだ今春のキャンプ。調整が遅れた昨年とは比較できないほど、威力のあるボールをブルペンで投げ込み、首脳陣にアピールした。3月5日に行われた野球日本代表「侍ジャパン」の強化試合・オランダ戦(京セラ)では、九回に登板し、三者凡退で上々の侍デビュー。堂々と日の丸を背負う姿は、今季の飛躍を予感させた。
しかし、その後のオープン戦で結果を残せず、開幕は2軍スタート。そこで右腕は考えた。何が足りなかったのか-。たどり着いた結論は二つ。立ち上がりの弱さと不安定なフォームにあった。
元々、尻上がりに調子を上げるタイプ。初回はフォームの確認や、球種の感覚を確かめながら投げることが多く、「だましだましというか、探りながら入る試合が多かった」と、立ち上がりの失点からリズムをつかめない登板が続いていた。
そこで意識を変えたのが、投球練習の「5球」の使い方だ。「マウンド上がってからの5球で、いかに出力を上げられるか。試合と同じように投げるように意識するようになりました」。効果は数字に出始めており、ここまでの6試合中5試合で初回を無失点スタート。「出だしから150キロ近く出せるように」と理想を追い求めている。
フォームについても、繊細な修正を試みている。右腕いわく、これまでは「右膝で体をコントロールしていた」という。そこから右臀部(でんぶ)や、右股関節で体を操作するフォームに変更中。より大きな筋肉で体を動かすことでフォームを安定させ、高い出力を維持させることが狙いだ。
イニング間でも股関節に体重を乗せるイメージでキャッチボールを行うなど、体に理想の動きを染みこませている段階。「試合中は細かい部分までは意識できない。普段のブルペンやシャドーから意識しています」と地道な努力を続けている。
目指すのはもちろん1軍のマウンド。「いろいろやってますけど、活躍して初めてこれが正解だったと言える。今は自分ができることをやっていくだけです」と静かに闘志を燃やした常広。誰もが認める才能を開花させるため、鍛錬の日々を送る。
◆常広羽也斗(つねひろ・はやと)2001年9月18日生まれ。23歳。大分県出身。180センチ、79キロ。右投げ右打ち。投手。大分舞鶴高、青学大を経て、23年度ドラフト1位で広島入団。最速155キロの直球に加え、鋭く落ちるフォークが武器。24年9月15日のDeNA戦(マツダ)で1軍初登板初先発し、5回1失点の好投でプロ初勝利を挙げた。





