広島・坂倉が復帰1号 マツダ今季初打席で決めた! 名前コールにスタンド大歓声「ありがたかったです」
「広島2-4中日」(2日、マツダスタジアム)
待望の快音でも鯉は跳ねなかった。広島の坂倉将吾捕手(26)が、二回に右手中指骨折から復帰後初本塁打となる先制1号ソロを放った。マツダスタジアムでの今季初打席で描いたアーチで、チームは勢いづいたと思ったが…。逆転負けを喫し、22年以来3年ぶりで、新井監督就任後は初の7連敗。3位・中日に1・5ゲーム差に広げられた。
高々と舞い上がった打球が、歓声に押されて伸びる。白球が右翼席最前列に飛び込むと坂倉は大歓声を背に受け、本拠地のダイヤモンドをゆっくりと回った。復帰後初アーチは貴重な先制弾。「ファンの声援のおかげで(スタンドまで)届きました」と鯉党の後押しに感謝した。
二回だ。1死から高橋宏と対峙(たいじ)した。カウント1-2から、高めの150キロ直球を一閃(いっせん)。右翼手・細川がジャンプして捕球を試みるも、ボールは右翼フェンスをギリギリで越えた。
昨季は12打数1安打、打率・083に抑え込まれていた右腕から今季1号。連敗中のチームにとって何が何でもほしかった先制点をもたらし、「先取点を取ることができてよかったです」と美しい放物線で、完全復活を印象づけた。
2月のキャンプ中に右手中指を骨折し、前カードの4月29日・巨人戦(東京ド)で1軍に合流。この日が復帰後初の本拠地での試合だった。第1打席では、名前がコールされると大歓声で迎えられ「ありがたかったです」と声援を力に変え、アーチをかけた。
それでも試合後は厳しい表情を崩さなかった。それもそのはず。2点を追う七回無死一塁では空振り三振を喫するなど、2打席目以降は快音が響かず。守備でも3盗塁を許すなど、不完全燃焼に終わった。昨季、1度しかバッテリーを組まなかった森下を勝利へ導けず、「負けているので、たくさん反省しないといけない」と女房役として責任を背負い、「コミュニケーションをとって、次回以降でいいものが出せたら」とリベンジを誓った。
新井監督は扇の要を担う背番号31の活躍を、「やっぱり彼は攻守ともに中心なんでね。きょうもナイスバッティングだった」と評価。「どんどん頑張ってもらいたいと思います」と連敗脱出へ、さらなる躍動に期待を寄せた。
坂倉が放った待望の一発は勝利に結び付かず、チームは新井政権初となる3年ぶりの7連敗。3位・中日とは1・5ゲーム差に広がった。長く暗いトンネルはいつ抜け出せるのか-。坂倉がチームに漂う悲愴(ひそう)感を打ち破っていく。





