広島の侍J・田村 ファーストスイングで2ラン 守ってもフェンス激突捕球 「誠也みたいに」新井監督の期待度上昇

 1回、右翼に先制2ランを放つ田村(撮影・山口登)
 1回、先制2ランを放ち小園(左)に迎えられる田村(撮影・山口登)
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 「練習試合、広島4-0ロッテ」(17日、コザしんきんスタジアム)

 広島の田村俊介外野手(20)が対外試合初戦となったロッテとの練習試合(沖縄)で、初回に今季チーム1号となる先制2ランを放った。守備でもフェンス際で好捕するなど攻守にわたって躍動。新井貴浩監督(47)は米大リーグ・カブスの鈴木誠也外野手(29)を引き合いに出し、成長に期待を寄せた。熾烈(しれつ)な外野争いを繰り広げる中で、猛烈なアピールに成功した。

 初の侍ジャパンに選出され、知名度も急上昇中。沖縄のファンが注目するファーストスイング。田村はその1スイングで実力を証明した。打った瞬間の完璧な当たり。打球が右翼スタンドに着弾すると球場からはどよめきが起こった。

 「しっかりとしたスイングの中で本塁打が出たのでいいスタートが切れたと思います」

 今季初の対外試合で“開幕4番”を任された。初回、2死一塁で打席へ。1ボール1ストライクからのロッテ・東條が投じた高めの直球を強振。先制2ランでチームに今季初得点をもたらした。対外試合初戦の初スイングでの本塁打に「自分の中ではたまたま出たなという感じ」とけろっと振り返った。

 プロ3年目の20歳は対峙(たいじ)する投手のほとんどが初対戦。その中で心がけていることは「初対戦でも考えずに、甘い球が来たらしっかり打ちにいこうと思っている」。この日の本塁打も真ん中高めに入ってきた甘い球。シンプルな思考と高い技術力で結果を残し続けている。

 右翼の守備でも魅せた。五回無死一塁で松川が放った打球は一塁後方のファウルゾーンへ。高々と舞い上がった打球に対して一直線で落下点に向かうと、最後はフェンスに激突しながらジャンプしてキャッチ。高い身体能力を発揮したが「守備は一番下手くそなので。まだまだ練習していきたいと思います」と謙虚な姿勢も忘れていない。

 若武者の躍動に新井監督も「打撃も守備も良かった。打席の中で落ち着きがある」と高評価。成長曲線について「まずは焦らず、一歩ずつ着実に力を付けてほしい」としながらも「若い選手はパンっと跳ね上がる。(鈴木)誠也みたいに。一歩ずつと思っても二段飛ばし、三段飛ばしでね。そういう可能性を秘めている」とカープ出身のメジャーリーガーになぞらえて期待を寄せた。

 今キャンプでは西川の抜けた外野の枠を争い、若手の激しいアピール合戦が続いている。「他の外野手の方も結果を出されているし、僕だけが打っているわけではない。まだまだ争いの中なので継続して結果を出せるようにしたい」。天才的な打撃センスを武器にスターへの道を歩んでいく。

 ◆広島の外野争い 1軍実績組では、現在2軍キャンプで調整している秋山、野間がレギュラーの有力候補。2人を田村、中村健、中村奨、中村貴、久保が追いかける構図。2軍には大盛、宇草も控える状況。左膝内側半月板損傷でリハビリ中の末包も開幕に照準を合わせて復帰を目指しており、ポジション争いは激化している。

 ◇田村 俊介(たむら・しゅんすけ)2003年8月25日生まれ、20歳。京都府出身。178センチ、93キロ。左投げ左打ち。外野手。共楽少年野球クラブで野球を始め、明徳義塾中では軟式野球部に所属。愛工大名電では1年春からベンチ入り。21年度ドラフト4位入団。23年に1軍初出場を果たし、10試合、22打数8安打、打率・364。

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