起死回生の堂林同点弾でカープ執念ドロー 連敗ストップならずも地元で不敗神話継続「負けなかったので」

 「中日ドラゴンズ3-3広島東洋カープ」(11日、バンテリンドーム)

 広島は8投手をつぎ込む激闘の末、延長十二回を戦い抜き今季3度目の引き分け。チームを救ったのは堂林翔太内野手(31)だ。2点を追う七回2死三塁で同点5号2ランを左翼席に運んだ。堂林が本塁打を打てば12連勝中だったが、この試合も負けなかった。不敗神話は継続。首位阪神とは6ゲーム差と開いたが、これを浮上のきっかけにする。

 重い空気を堂林がひと振りで変えた。

 2点を追う七回1死一、三塁で巡ってきた打席。その初球に代走・大盛が二盗失敗。4連敗中とチームが低迷する中、ため息が充満したが、2ボールから勝野の152キロを堂林は待っていた。豪快に振り抜くと打球は真っ赤に染まる左翼スタンドに突き刺さる同点2ランになった。

 「思い切っていけるカウントだったので、いきました。結果的に同点ホームランだったので、勝ちきりたかったですけど、負けなかったので、よかったかなと思う」

 地元愛知県出身。バンテリンドームでは特に燃える。昨季も出場した8試合すべてで安打を記録して打率・414。高橋宏から本塁打も放っていた。

 「親が来ていましたし、いいところを見せられてよかった」

 価値ある一発を目の前で見せられる。プロ野球選手としてこれ以上の親孝行はないだろう。

 もちろん、チームにとっても大きい。

 新井監督は「スライダー、スライダー(がボールになって)で一発であのまっすぐを完璧なホームラン。素晴らしいホームランだったと思う」と絶賛した。

 敵地で何度もピンチを迎えながらも延長十二回を引き分け。堂林が本塁打を打った試合は2020年9月19日・ヤクルト戦から12連勝中。この夜は勝利まで導くことはできなかったが、不敗神話は継続した。

 負けていれば今季ワーストの5連敗だった。首位・阪神が怒濤(どとう)の勢いで勝ち進む中、引き離されている状況は苦しい。ゲーム差も6に開いた。それでも8投手をつぎ込みながら五回以降は得点を許さなかったことに意味がある。

 指揮官は「本当にみんなよく頑張った。明日につながる。みんなで頑張って勝ち取った引き分けじゃないかなと思います」と選手たちをたたえた。10日のヤクルト戦後には「今が底」と評したチーム状態。この引き分けが光明になると見る。

 秋山が負傷するなど厳しさは増すばかりだが、全員で戦い抜く。

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