広島・白浜「引退試合かなというぐらいの拍手、幸せだった」 現役19年、2年ぶりに1軍出場

 143試合のペナントレースにおいて、デイリースポーツ記者の心に残った試合、場面を振り返るオフ企画『一投一打』。広島担当の市尻達拡記者は、今季限りで19年間の現役生活にピリオドを打った白浜裕太捕手(37)が2年ぶりに1軍出場を果たした7月23日のヤクルト戦(神宮)を挙げた。脚光を浴びることは少なかったベテラン捕手の秘められた思いをつづる。

  ◇  ◇

 神宮のボルテージが一気に上がった瞬間だった。八回2死一塁で代打・白浜の名前がアナウンスされたときだ。2年ぶりの1軍出場に、鯉党もチームメートも拍手を送った。

 「引退試合かなというぐらいの拍手をいただけた。すごくありがたく、幸せだった」

 4球目の直球を打ち中飛に倒れた。走って三塁ベンチへ戻る背番号32には再び温かい拍手が送られた。

 5年ぶりの安打はお預けになったものの、直後にマスクをかぶりチームの勝利に貢献。どっしりとした姿が頼もしかった。

 シーズン終了後に戦力外通告を受け、引退を決断した。03年度ドラフト1位で入団して広島一筋19年。球団の生え抜き捕手では石原慶幸(02~20年)と並ぶ最長だ。「大好きな野球がここまでできた。全ての人に感謝しています」と語った。

 通算成績は90試合で打率・153、1本塁打、7打点。2軍暮らしが長く、正捕手として活躍はできなかった。それでも常に前向きに練習に打ち込んでいた姿が印象的だ。根底にあったのは凡事徹底だった。

 「準備とか気持ちも含めて、怠ったことはない。急にスタメンと言われようが、代打はお前しかいないというところでいってもパフォーマンスを出せる準備は2軍にいるときでもしていた」

 試合に出られなくても積み重ねた日々。その姿は後輩の目に焼き付いているはずだ。「ずっと耐えることが全てではないけど、勝っても負けても原因や要因がある。一人で喜ぶこともあったが、一人で悔しがることの方が多かった。勝つ喜びのためにすごく汗を流した。喜びはそう簡単に味わえないけど毎日の練習を一生懸命やってほしい」

 将来のカープを背負う若鯉にエールを送り、ユニホームを脱いだ白浜。来季からはスコアラーとしてチームをサポートしていく。

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