佐々岡監督 チームに残せたもの「ないから辞めた」 退任会見でもあふれたカープ愛
今季限りでの辞任を表明していた広島・佐々岡真司監督(55)が3日、マツダスタジアムで退任会見を開き、CS、日本シリーズに進んでいたとしても、リーグ優勝を逃せば辞任する思いであったと話した。幼少期からカープファンであり「本当に幸せな男でした」と振り返った。後任監督は球団OBからの選任が見込まれている。
不退転の決意で臨んだ3年目だった。来季も指揮を執るために、自らに課したのは「リーグ優勝」のみ。たとえCSや、日本シリーズに進出したとしても、リーグ優勝できなければユニホームを脱ぐことを決めていたと明かした。
「優勝じゃないと(辞任を)決断しようと思って入った1年。(9月26日に球団に辞任を伝えた後)CSに行こうが日本シリーズに行こうが、気持ちとしては責任を取ってというのは、鈴木さん(球団本部長)には伝えていた」
9月25日にヤクルトが2連覇を決めた。自宅のテレビで高津監督が胴上げされる姿を目にし、身を引くと決断した。4年ぶりのリーグ制覇を目指して船出しながら目的地に到達できず、責任を痛感していた。
20年から指揮を執ったが、チームは3年連続Bクラス。勝率5割以上は一度もなかった。就任直後から信条に掲げた「一体感」のあるチーム作りも道半ば。過渡期のチームを再建するまでには至らなかった。
チームに残せたものは?という問いには「自分の中では…ない。ないから辞めた」と答えた。1軍で求められるのは勝利のみ。多くを語らずに背筋を伸ばした。
それでも床田を独り立ちさせ、栗林を守護神に抜てきした。昨季は37セーブで新人王に輝き、今季も31セーブと存在感は際立った。抜群の安定感を誇る抑えの存在は、今後のチーム編成を考えれば、大きな強みになる。
「(自軍投手が)3ボールになっての拍手などは僕らの時代にはなかった。本当に温かかった」。コロナ禍となり、声が出せない状況でも、ファンがスタンドに足を運んでくれたことが力になった。改めて謝意を伝えた。
幼少期からのカープファン。監督として記憶に残るのは就任1年目の開幕戦。20年6月19日のDeNA戦(横浜)で初勝利を挙げた瞬間だった。
「本当に好きな球団で、できる喜びがあった。最後には監督をさせてもらって本当に幸せな男でした」
佐々岡監督はそう言って退任会見を終えた。
◆広島・松田オーナー「ご苦労さんと伝えた。(試合後のセレモニーでナインから慕われていた姿は)監督に選んだときのイメージだった。野手も投手も隔たりなく話すことができる。口下手なので、鼓舞したりすることは苦手だったかもしれないが、人柄の良さが出ていた。人柄を知っているからファンも温かかった。(次期監督は)まだ」


