遠藤522日ぶり勝利 カープ首位返り咲き 地道な努力と将の助言「間違ってなかったんだな」

 「阪神0-1広島」(10日、甲子園球場)

 広島・遠藤淳志投手(23)が、八回途中無失点の好投で自身522日ぶりの勝利。チームを3年ぶりの阪神戦5連勝に導いただけでなく、1日以来の首位にも返り咲かせた。貯金は今季最多タイの『6』。孝行息子の出現で佐々岡カープの快進撃はさらに加速する。

 勝利のハイタッチを迎える遠藤の肩を、佐々岡監督が優しくたたいて祝福した。2020年11月4日・巨人戦以来、522日ぶりの勝利投手だ。

 「うれしい気持ちと、苦しんだ時に周りの人が支えてくれてここまで来られたんだなと実感して、2軍のスタッフさんだったりお世話になった方々に感謝したいなと思います」

 一昨年に5勝を挙げて飛躍を期待されたが、昨季は不振に陥り、わずか2試合の登板にとどまった。2軍でも結果が出なかった。

 「オレ、何やってんのかなとかこのまま終わっちゃうのかなとか思ってた」

 苦しい日々、それでも自分を信じて基本から見つめ直した。右膝が曲がりすぎる悪癖を直すために、キャッチボールから1球1球、大事に投げた。地道な努力を続けるしかなかった。心の支えにしたのは「また大歓声の中で投げたい」という思いだけだった。

 この日は初回に先頭・近本に安打を許すなど、2安打を打たれながらも失点を許さなかった。二回以降は緩急を交えた投球で阪神打線を翻弄(ほんろう)。七回1死から佐藤輝に二塁打を許したが、大山と糸原をいずれも140キロ台前半の直球で打ち取り、右拳を突き上げるガッツポーズを決めた。

 この直球こそが最大の武器だ。入団時の2軍投手コーチだった佐々岡監督からは「スピードガン以上の伸びのある直球がお前の武器だ」とずっと言われてきた。キャンプではブルペンに入るたびに、打席で球筋を見ながらアドバイスをもらった。一番の特徴である直球を、信じられるようになった。

 指揮官は「スピードは(以前と)そう変わらないけど、しっかりと下(半身)を使って前で離せている。あのスピードで差し込まれている」と成長を口にした。

 八回2死で降板。ベンチに戻る遠藤には、スタンドから大きな拍手が降り注いだ。

 「胸にジーンとくるものがありました。やってきたことは間違ってなかったんだなと」

 孝行息子の快投で首位返り咲き。この勢いは本物だ。

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