広島・ドラ6末包 ついに出たプロ1号 左中間に着弾 今季初連敗も鯉党の夢膨らむ一撃

 「中日4-3広島」(2日、バンテリンドーム)

 1点リードの延長十二回、守護神・栗林良吏投手(25)が打ち込まれサヨナラ負け。プロ初のセーブ失敗となり、チームは今季初の連敗を喫した。惜敗の中で輝いたのは、五回にドラフト6位・末包昇大外野手(25)=大阪ガス=のバットから飛び出したプロ初本塁打。大砲候補の放物線が、明るい未来を感じさせた。

 このパワーが最大の魅力。広いバンテリンドームの左中間スタンドに末包が運んでみせた。

 「泳ぎ気味だったんですけど、感じは良かった。ただ、広さがあったので、とりあえず“入ってくれー”と思ったんですけど」

 1-1の同点で迎えた五回の打席。1ボールから笠原の129キロカットボールを振り抜いた。プロ21打席目にしてうれしいプロ初本塁打だ。

 「思ったより早かったかな。まだ慣れない部分はありますし、移動だったり、経験していないことが多い。(生活の)リズムはもちろん全然変わってきました。ただ、思ったほど疲れはきてない。まだまだ頑張れるかなと思います」

 開幕戦では球団64年ぶりとなる新人猛打賞を記録。一躍、時の人となった。ツイッターではタレントのいとうせいこうが祝福のコメントをつづった。

 「かわいい姪の夫が新人にして開幕スタメン、そしてタイムリーを打ったとの朗報!広島の末包です。どうぞよろしくお願いします!」

 妻・杏子(あんず)さんの叔父。まだ会ったことはないという親戚だ。

 「僕自身テレビで見ていた人。結構知っていたので、奥さんからそれを言われたときはうれしかったです。年末の(親戚の)集まりも来られているみたいなので、どこかで会えればと思います」

 ドラフト6位。鳴り物入りで入団したわけではないが、なぜか注目を集める存在だ。キャンプ中、打撃に悩めば、会ったこともない鈴木誠也から電話で連絡をもらい、打撃指導を受けたこともあった。グラウンドに立てば188センチ、110キロの巨体は目を引く。そしてバットを持てば、その飛距離にくぎ付けになる。そんな未完の大砲が放った一発。首脳陣だけでなく、ファンも夢を見る。

 3年ぶりの延長戦でサヨナラ負け。開幕6連勝からの連敗で今季初のカード負け越しとなった。悔しさは残る。それでも末包の弾道は強烈に目に焼き付いた。

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