広島CSへ「勇気くれた」宇草の先頭弾&誠也36号 佐々岡監督「全部勝つだけ」
「巨人7-8広島」(16日、東京ドーム)
大接近だ!広島が3位・巨人との直接対決を制してゲーム差を3に縮め、CS進出への望みを拡大させた。初回に宇草孔基外野手(24)がプロ初の先頭打者本塁打。三回には鈴木誠也外野手(27)が36号ソロで追加点を挙げ、本塁打争いでリーグトップに3本差と迫った。奇跡の逆転CSへの可能性を高める白星。勢いを加速させ、連勝を伸ばしていく。
敵地に描かれた放物線が、夢をつなぐ。負けられない一戦で、赤く染まった左翼スタンドが揺れた。若鯉が示した電光石火の一撃。そして主砲が見せた貫禄の打棒。逆転での3位浮上へ-。宇草と鈴木誠がそれぞれ一発を放ってCS出場への機運を高めた。
開始直後、宇草が試合を動かした。1ボールからの直球を振り抜き、右中間へプロ初の先頭打者本塁打。「思い切っていった結果が本塁打になって良かった」。これで波に乗った攻撃陣は初回、9人攻撃で4点を先制。早々に高橋をKOした。
そして三回は主砲・鈴木誠の出番だ。先頭で戸根の浮いたチェンジアップを豪快に叩いた打球は、打った瞬間に確信する左翼バルコニー席への特大36号ソロ。「森下の援護点になって良かった」と振り返った主砲は、2試合連発で球団史上5人目の巨人戦シーズン2桁本塁打を達成。39本でリーグトップに立つ村上(ヤクルト)、岡本和(巨人)に3本差に迫った。
2安打で打率・323として首位打者をキープ。本塁打王争いでも2人のスラッガーに接近し“2冠”も射程圏に捉えた。だが本人は本塁打争いに「特に意識はしていないです。一打席一打席、チームが勝てるように最後まで頑張ります」と、勝利に直結する一打を求める姿勢を示した。
試合前は後輩の宇草に助言を送った。宇草は「練習通り平常心で、いつも通り臨んでいこうと言っていただいた。練習通り、落ち着いて(試合に)入れるように意識した」。過度に力まず、肩の力を抜いて先頭打者弾。先輩のアドバイスに、最高の結果で応えた。
佐々岡監督は「チームに勇気を与えてくれた」と宇草の一発を評価した。直近9試合で8勝1敗と“末脚”は加速するばかり。7日の4位浮上時に「9」だった巨人とのゲーム差は「3」に縮まった。残り8試合へ、指揮官は「全力で戦って全部勝つだけ」と力強く言い切る。猛追で捉えた巨人の背中。奇跡への扉は全員でこじ開ける。