広島・中村奨、V撃 救世主じゃ!プロ初先発マスク初タイムリー初打点

 「巨人2-10広島」(19日、東京ドーム)

 初物づくしの大暴れじゃ!広島の中村奨成捕手(21)が捕手でプロ初先発し、プロ初タイムリーとなる決勝の左前2点適時打でプロ初打点を挙げた。プロ初のマルチ安打も記録し、先発・九里を完投勝利へ導いてプロ初のフル出場。コロナ禍で捕手3人や主力選手が離脱する窮地で、2017年度のドラフト1位がチームを救った。

 必死に食らいついて放った打球が左前に転がると、広島・中村奨は一塁上で両手を天に突き上げた。プロ初適時打が決勝打。プロ初のヒーローインタビューにも呼ばれると「うれしいです」とはにかんだ。

 1-1で迎えた六回無死満塁だった。高橋の141キロ直球をはじき返すと、高く弾んだゴロは三塁・岡本和の頭上を越えた。「抜けろと思いながら走った」。勝ち越しの左前2点適時打でプロ初打点を記録すると、1イニングで今季最多9得点へ結び付いた。

 1点を追う五回は先頭で左前打を放ち、1死一、二塁では羽月の右前打で二塁から同点のホームを踏んだ。2安打2打点でプロ初のマルチ安打。リーグトップタイの5勝を挙げる高橋に今季初黒星をつける原動力となり、「期待に応えられた」とうなずいた。

 チームの危機を救う活躍だった。中村奨は17日に菊池涼ら3選手が新型コロナウイルスに感染したことを受け、18日に「感染拡大防止特例2021」で1軍に昇格した。

 さらにこの試合は坂倉がマスクをかぶり、中村奨は外野で先発予定だった。だが、感染を懸念した球団独自の判断で坂倉はベンチ外に。石原、磯村もコロナ禍で出場選手登録を抹消されており、捕手3人が離脱している状況でプロ初の先発マスクが回ってきた。

 「すごく緊張した」。それでも先発の九里を完投勝利に導いてプロ初のフル出場も果たした。

 11日のウエスタン・中日戦では大瀬良とバッテリーを組んだ。感じたことを配球に生かすなど工夫を凝らし、エースから「ちゃんと考えて、成長した。しっかり野球に向き合っている」と姿勢を評価されていた。1軍でも進化を示し、佐々岡監督は「急きょの捕手でも結果を出してくれた」とたたえた。

 4月16日の中日戦でプロ初安打を放った後は、母校の広陵・中井監督に連絡。「謙虚に自信を持ってやりなさい」という恩師の言葉を胸に刻む。「ここからがスタートという気持ちで頑張っていきたい」。チームは厳しい状況だが、中村奨にとってはチャンスでもある。今季で高卒4年目。貪欲に1軍定着を目指していく。

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