広島退団の小窪 現役続行を希望した理由を明かす「中途半端ではやりたくない」

 今季限りで広島を退団した小窪哲也内野手(35)が、カープでの13年間の思い出や、今回の決断に至った経緯などを語った。球団は指導者への転身を打診したが、現役続行を希望。チームの低迷期を知り、25年ぶりにリーグ優勝した16年は選手会長としてチームをまとめ上げるなど、そのキャプテンシーは計り知れないほど大きかった。

  ◇  ◇

 -球団とはいつ話し合いを持ったのか。

 「9月の終わりくらいに一度目の話し合いをさせていただいて、時間をもらいました。考えても考えても、まだやりたいという気持ちが強かった。これで、もしどこもなかったら諦めがつきます」

 -球団からは指導者のオファーもあった。

 「悩んだんですけど…。現役を続けられる可能性が1%でもあるなら、挑戦してみたいという気持ちが強かった。年齢的にどこまでできるのかわからない。そんなに自信があるわけではない。来年けがをするかもしれないし。ただ、今年やった感じでは、まだ自分の中でやれると思った」

 -指導者の資質を評価されていた。

 「自信はないです。全て自分の可能性がなくなって(現役への)諦めがついてからです。(選手として)やりたいと思いながら(指導者を)やるものではない。中途半端ではやりたくない」

 -将来を考えると、来季から指導者という道もあったのでは。

 「ありがたい気持ち、すごくうれしい気持ちがありました。でもまだ無理というか、自信がない。変な話ですけど、僕が何も職がなくて仕事(コーチ業)を引き受けさせてもらったら、自分のためだと思う。僕はそういう人がユニホームを着るべきではないと思っている。家族や生活のためにというのもわかるのですが、自分の中ではちょっと違うと感じています。やったことのないやつが偉そうなことを言うなと言われるかもしれない。でもそれが自分自身の気持ちです」

 -移籍先に独立リーグなどの考えは。

 「現段階ではNPBだと思っています」

 -13年間広島でプレーし、印象に残っていることは。

 「一番思い出すのは、選手会長になる前の年(15年)の、勝てばCSに行けるというときに勝てなかった試合ですね。(大瀬良)大地が泣いていた。ファンの方に、あんなに応援していただいていたのにガッカリさせてしまった。正直、僕ら選手よりファンの人たちの方が熱い気持ちを持っていたと思う。もっと選手が必死にならないといけないのでは?と感じた試合だった。俺ら何してんねんって…。ちょうど選手会長になるタイミングだったので、次の年のキャンプに入るまでにもいろいろ考えました。熱い人たちにお返ししたいと」

 -CS出場の懸かった、あの中日戦はまさに大一番だった。

 「自分はレギュラーで出ていたわけではないけど、試合前からめちゃ緊張していた。でも、選手の中に『143分の1やん』みたいな言葉があった。誰が言ったかは覚えていない。でもその言葉がすごく残っていて…。悪気なく言ったんだと思う。正直、勝ち負けなので勝てない時はある。でも、僕は強い気持ちで臨みたいし、そういうチームになりたいと思った」

 -大瀬良の涙が象徴的だった。

 「(敗戦の責任を背負って)一人泣いていた。それも僕らみんなの責任。共有できれば変わったのではないかなと。僕が選手会長になってできることはそこかなと思った」

 -16年に選手会長になり、自分の思いは伝えたのか。

 「伝えました。俺は違うと思うと伝えました」

 -その年、25年ぶりにリーグ優勝。チームをまとめ上げた。

 「僕ばかりの力ではないですけどね。ホッとしました。春のキャンプで雰囲気がなんか違う、優勝すると思った。それまでは選手会長ではなかったので、チームに対してそういう見方はしていなかった。でも、その時は今年勝ちそうだなと感じた。選手はレギュラーを取るとか、それぞれ意気込みがある。その中でなんか優勝できると思った」

 -どこで感じたか。

 「キャンプ前日に、そういう話を選手の間でやった。やってほしい選手というか、引っ張ってほしい選手に自分の思いを伝えました。そいつらが本気になってやってくれたから、いいキャンプになりました」

 -13年間在籍したカープへの思いは。

 「プロ野球選手にさせていただいた球団。特徴のない選手が、いろいろ経験させてもらい、成長させてもらった。感謝の気持ちしかありません」

 -ファンへは。

 「応援してくださって、本当にありがとうございます。自分でも、まだどれだけできるかわからないですけど、可能性がある限り精いっぱい野球人生を歩みたいと思っています」

 ◆小窪哲也(こくぼ・てつや)1985年4月12日生まれ。奈良県葛城市出身。内野手。右投げ右打ち。身長175センチ、体重83キロ。PL学園では3年時に夏の甲子園に出場。青学大では4度、ベストナインに選ばれた。高校、大学と年代別の日本代表にも選出された。07年度大学・社会人ドラフト3位で広島に入団。内野ならどこでも守れる万能性と、勝負強い打撃が持ち味。

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