ドラ1・森下に「10勝する力」 発熱後でも159球2失点11K

 即戦力の名に恥じない力投を見せた。広島から1位指名を受けた明大・森下暢仁投手(22)=大分商=が20日、東京六大学秋季リーグ・慶大戦で、17日のドラフト会議後初登板。同点の九回にサヨナラ打を許したが、大学入学後では公式戦最多となる159球を投じ、8回2/3を6安打2失点、11奪三振。ドラ1の意地は見せつけた。

 打球が中堅手の頭上を越えるのを確認すると、森下は悔しさを押し殺して整列へと向かった。同点の九回2死一、二塁。慶大の代打・橋本典に159球目となるカットボールを捉えられた。「勝ててないので、これが結果です」。主将として、エースとして責任を一身に背負った。

 サヨナラ負けは喫したが、ドラフト1位指名の実力にたがわない投球は見せた。1球目から150キロを計測。初回、いきなり迎えた2死三塁のピンチでは5番・正木をこの日最速の153キロで見逃し三振に斬った。序盤から球が浮いて慶大打線の粘りにも苦しみながら、打者の反応から配球を組み立てるマウンドさばきも併せ持つ。

 最終回に140キロ後半をマークするなどスタミナも申し分ない。中盤からは森下の武器である100~110キロ台のカーブも決まりだし、緩急を織り交ぜてほんろう。ソフトバンク5位指名の柳町からは直球、変化球を決め球に2三振を奪うなど無安打に封じた。

 端正な顔立ちの裏に熱いハートを宿している。ドラフト会議の2日前に発熱し、2日間静養した。これまでカード頭を任され続けていたが、調整不足を考慮されて19日の慶大1回戦は登板せず。チームは敗れ、春秋連覇の可能性が消滅する瞬間をベンチで迎えた。

 だからこそ、「勝ちにこだわっていきたい」と立った、この日のマウンドだった。体調不良の影響は「それは全然関係ないです」とキッパリ。球数がかさんだことで七回あたりに善波達也監督(57)から「このくらいかな」と交代を示唆されても、譲る気はなく続投を志願した。

 球団からの評価はもちろん不変だ。視察した苑田スカウト統括部長は「言うことない。病気明けですから。全力で投げているのがいいところ」とほれ直した様子。「10勝する力がある」と開幕ローテに食い込むポテンシャルを認めている。

 森下自身も悔しい結果を糧に前を向いた。プロへ向けて、「自分自身まだまだ取り組みが甘い。もっともっと練習していきたい」。来春キャンプの1軍帯同も確約されている大学ナンバーワン右腕。残り1カードとなった学生ラストシーズンを全うし、佐々岡カープでの戦いにつなげる。

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