大瀬良で2位浮上 エースが台風禍の広島救った6度目完投&3年連続2桁勝利

 「DeNA2-4広島」(16日、横浜スタジアム)

 広島・大瀬良大地投手(28)が9回5安打2失点の力投で、今季10勝目を6度目の完投勝利で飾った。10~15年の前田健太(現ドジャース)以来となる3年連続4度目の2桁勝利で、チームは7月5日以来の2位へ浮上。首位・巨人も勝ったため4・5ゲーム差は変わらないが、エースが2カード連続負け越し中のチームを救った。

 チームが苦しい時に勝ってこそ、カープのエースだ。2点リードの九回2死一塁。大瀬良は乙坂をフォークで二ゴロに打ち取った。3年連続の2桁勝利となる10勝目を6度目の完投で飾り、バッテリーを組む会沢とがっちりハイタッチ。チームを2位に浮上させ、白星の味をかみしめた。

 「この球場でやられていたので、やられっぱなしではいけないと思って、強い気持ちを持ってマウンドに上がりました。疲れていたんですけど、大きな声援をいただいて、最高の疲れになりました」

 屈辱にまみれた横浜の夜を忘れるはずがない。前回6月28日・DeNA戦は4回2/3を12安打7失点でKO。五回を投げきれずマウンドを降りた。その夜は会沢と食事へ。2人でとことん話し合い、反省点を洗い出した。

 この夜も会沢のサインにうなずき、その意図をくみ取った。序盤は150キロ超の直球で押し込み、中盤からはカーブやフォークを交えて変幻自在。今季未勝利のDeNAが相手だったがマウンドに仁王立ちだ。

 1軍での活躍だけを心に誓ってきた。16年にプロ入り初めて2軍降格した際、大瀬良は私服姿で大野を訪れた。ジャージーで練習場へ通うことが許されているが「そこは自分なりに決めていました」と貫いた。「2軍の雰囲気に慣れたらダメだぞ」。先輩の言葉も心に響いた。今春、九州共立大の後輩・島内が2軍降格した際も自身の経験を伝えた。優しさばかりがクローズアップされるが、芯の強さもエース向きだ。

 今回は台風10号のあおりを受けて、14日に新横浜へ移動。前日15日は横須賀の球場で調整した。ナインは当日移動で、昼過ぎに横浜へ到着。「僕よりチームメートの方がドタバタで疲労があると思う。最後まで投げられて良かったです」とエースらしく言った。

 そんな姿を緒方監督は「大地に尽きるでしょう。最後まで投げ抜いてくれたんだから」と称賛した。苦しんだ時期もあったが、7月以降は4勝1敗と完全復活。首位巨人と4・5ゲーム差。まだ奇跡は起こせる。王者の誇りにかけて、最後まで全身全霊で戦い抜く。

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