3年連続…悲願かなわぬ “甲斐キャノン”に自慢の機動力不発 緒方監督「自分の力不足」

 「日本シリーズ・第6戦、広島0-2ソフトバンク」(3日、マツダスタジアム)

 夢は、はかなくもついえた。34年ぶりの日本一を目指した戦いが終幕。本拠地での1勝1分け後は日本ハムと戦った2年前のように、敵地で3連敗。王手をかけられ、本拠地でも潮目は変わらなかった。広島・緒方監督は「決して力で負けてないと思う。この結果は自分の責任、自分の力不足」と悔しさを胸に思いを言葉に乗せた。

 持ち前の機動力をこの日も生かせなかった。初回先頭の田中が左前打で出塁すると、菊池の犠打失敗を挟み、丸の打席で二盗を試みる。一度はセーフとなったが、リクエストにより判定が覆った。

 二回は先制機を作ったが1死一、三塁で野間が空振り三振。続く石原の打席では二盗を試みた安部が刺された。「相手に上回られたということ」。相手捕手・甲斐に何度も阻まれるなど、第1戦から盗塁成功ゼロで、計8盗塁刺はシリーズワースト記録となってしまった。三回以降は二塁すら踏めず、昨年王者に屈した。

 3連覇を果たした今季。巨人とのCS初戦当日には「この舞台で戦えること自体が幸せ。そういう気持ちを持っていかないと」と話していた。昨年屈したCSを無傷の3連勝で突破すると、その後の10月24日。ドラフト会議前日のスカウト会議には出席せず、ソフトバンクとの試合のシミュレーションを施した。頂へ、全てを注ぎ込んできた。

 敵地で王手をかけられ、福岡からの移動日だった前日早朝。地元・佐賀県に足を運び、亡き母・孝子さんが眠る墓前で手を合わせた。それでも日本一には届かず、実家に帰ることはできなかった。また、11月3日はくしくも現役時代の恩師である三村敏之元監督の命日。そこでの勝利もかなわなかった。

 「この舞台での貴重な経験を来年生かす。終わった瞬間から次の戦いが始まる」と指揮官。苦杯を味わった頂点への決戦を胸に刻み、再び日本の頂をかけた戦いへの道のりは始まる。

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