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黒田 無念降板も男気85球…満身創痍で六回途中1失点「次あるなら準備を…」

 試合後、悔しさをにじませる黒田(撮影・吉澤敬太)
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 「日本シリーズ・第3戦、日本ハム4-3広島」(25日、札幌ドーム)

 無念の降板-。今季限りで現役を引退する広島・黒田博樹投手(41)が、5回2/3を4安打1失点。六回1死から大谷を左飛に仕留めたところで両足に違和感を訴え、マウンドを降りた。口を真一文字に結び、悔しさをにじませたレジェンド右腕。チームはサヨナラ負けでシリーズ初黒星を喫したが、魂の85球は永遠に語り継がれる。

 視線を上げることができなかった。胸中を支配したのは、チームに対する申し訳なさのみ。18日に今シリーズ限りでの現役引退を発表してから初めての登板で、六回途中に負傷降板。「短期決戦でなければ行きたいと思ったが、自分の気持ちだけでは行けない」。肩などに消炎剤の注射を打ちながら乗り切ってきた体が、大一番で悲鳴を上げた。

 2-1の六回1死。大谷を左飛に打ち取った直後、両手を膝に当てた。この回の始めから両ふくらはぎに違和感が生じており、大谷への投球後にけいれんが起こった。一度ベンチに下がって治療。テーピングを施してマウンドに上がり、3球の投球練習を行ったものの、今度は両太もも裏に「張りを覚えた」。次打者は長打がある中田。「自分の判断で降板した。一発があるし、ランナーなしで次に任せた方が良い。迷惑は掛けられない」とヘーゲンズに託した。

 5回2/3で85球を投げて4安打1失点。修羅場をくぐり抜けてきた強い精神力で試合を作った。2-1の四回、大谷に二塁打を浴びた無死二塁では中田、岡、レアードをピシャリ。満身創痍(そうい)でも、右腕を支え続けてきた抜群の制球力に一点の陰りもなかった。

 広島に復帰して2年。黒田が歩んだ道は後輩に確かなものを残した。それは準備の重要性。「アメリカでは全体練習の時間が短く、早めに動かすようになった」。カープでも練習前のトレーニングや体のケアに時間を費やす。治療中でも対戦相手を映像でチェックして攻略法を模索した。妥協しない姿勢を目の当たりにしてきた若手は刺激を受けた。

 ミーティングも同様だ。レジェンド右腕は3度も行う。1度目はスコアラーと。2度目はそこに捕手と投手コーチ、バッテリーコーチが加わる。自ら発言して捕手と意思疎通を図り、アウトを奪うための道筋を立てていく。最後は最も重要視する投手陣全体だ。投手は一人一人タイプが違うため、必ずしも打者への対策が、それぞれに適しているとは限らないからだ。

 3-3の延長十回。大瀬良が大谷にサヨナラ打を浴び、32年ぶりの日本一に王手をかけることはできなかった。ベンチで敵軍の歓喜の輪を見つめながら、唇をかんだ。この試合が現役最後の登板になる可能性について「次があるなら準備をしたい。チームの力になりたい。あとは監督、コーチの判断」とファイティングポーズを崩さなかった。「1球の重み」を感じるとカープ復帰を決めた。このままでは終われない-。日本一のために、最後の瞬間まで全てをかける。

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