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黒田が語るエースの矜持

 4月。桜は満開の季節を迎え、プロ野球は2016年シーズンがスタートした。阪神・高山の先頭打者本塁打や、中日・高橋の逆転満塁ホームラン、日本ハム・大谷の2戦連弾など、各地で白熱した試合が続いている。

 3月31日はパ・リーグの試合開催はなく、セは広島・ジョンソン、阪神・メッセンジャー、巨人・菅野が開幕戦から中5日で登板した。交流戦の影響などで、4月は2連戦など変則的な日程。当然、“エース”の役割が、チームの勝敗を大きく左右する。広島・黒田は「これは個人的な考えで、古いかもしれない」と前置きした上で、エースの思い、持論を語った。

 「エースである以上は、先発完投してほしいと思いますよね。特に今の野球は分業制になってますけど。分業制だからこそね、たまにはエースが完投してリリーフを休ませてあげる。それがチームの力になっていくと思うんです」

 いくら年月を重ねても、エースの矜恃は胸にある。日本で115、アメリカで79の白星を重ねる(4月1日現在)。日本とアメリカ。「野球」と「ベースボール」を経験した上で、理想としたのは「先発完投」、「勝敗を決める投手」。体を酷使させるわけではない。1試合を投げ抜くのは、限られた投手にしかできない能力。エースとは特別な存在であるからこそ、「完投」にこだわりを持つ。

 「やっぱり今、完投する投手が少なくなっている。それが後ろの投手に負担のかかる原因。毎試合勝っていこうと思ったら、毎試合同じような投手が投げないといけない。そう考えると、エースが先発で完投してね。その試合に勝っても負けても、白黒を決めてくれるというのが、リリーフにとっても1試合ですけどね。精神的にも変わってくるんじゃないかな、と。その積み重ねがチーム力に変わっていくと思う」

 黒田自身、2001年の13完投など、最後までマウンドに立つことにこだわってきた。古巣復帰した昨季、完投は1だったが、ベンチでは何度も続投を志願した。「僕が投げることでザキ(中崎)や、大地(大瀬良)を休ませられる」と、可能な限り投球回を重ねた。「チームが求めるなら」と、フル回転をいとわない。骨身を削って、プロで20年を生きてた。

 2016年。黒田は春季キャンプから、後輩選手と積極的に言葉を交わす。他愛もない話から、時には技術指導まで。新たなエース台頭を願うからこそ、ナインに背中で語りかける。「大地もそうですし、福井もそうです。もうそろそろ、そうやっていかないといけない。7回、8回でいいや、というんじゃなくてね。僅差なら『最後まで俺がいくんだ』-というものを、そういう投手であってほしいと思います」。

 41歳。黒田は「時間は限られている」と表現する。自らに残された球数が、少ないことを自覚しているから言う。「今年に限れば、持っているものを全てさらけ出して、伝えていけることはいっぱい伝えていきたい。自分の持っているものは全て、チームに残していきたいと思いますね」。今季初登板となった3月26日のDeNA戦(マツダスタジアム)では、7回9安打1失点の粘投。日米通算194個目の勝利を手にした。耐えて勝つ-。その息吹が新たなつぼみを、満開の桜に変えていく。(デイリースポーツ・田中政行)

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