福井また足踏み…破れない10勝の壁

 「阪神5-1広島」(3日、甲子園)

 タオルを頭からかぶり、広島・福井はベンチの床に視線を落とした。七回、マートンに3点適時二塁打を浴びてマウンドを降りた。「もう少し粘り強く投げられたら…。チームが負けて悔しい」と唇をかむ。無念さが残るKO劇で喫した、5敗目だ。

 持ちこたえられなかった。1-2の七回。2死満塁から、第1打席で通算1000安打を達成した助っ人に投じたフォークが高めに浮き、左中間を真っ二つに破られた。リードを4点に広げられた痛恨の失投。思わず甲子園の空を見上げた。緒方監督は「よく投げてくれた。でも失点した七回は、何とか踏ん張ってほしかった」と振り返った。

 一方で粘り強さを発揮したマウンドでもある。初回に失点したが、二回以降は打線の援護がない中で孤軍奮闘した。「途中は自分の投球ができたと思う」。直球やフォークの制球力には安定感があった。決して悲観する投球内容ではない。

 今季は既にキャリアハイとなる9勝をマーク。その投球で何度も緒方鯉を救ってきた。10勝に王手をかけながら、2試合連続でその壁にはね返されたが「(10勝は)意識している。その中で勝たないといけない。気持ちを切り替えていく」と力を込めた。戦う舞台は、まだ残されている。悔しさを力に変えて、福井は右腕を振る。

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