雨のちあっ晴れ逆転勝ち!会沢V打

 「広島8-5中日」(21日、マツダ)

 さすが球宴MVP男じゃ!勝利を決める一打を放ったのは広島の会沢翼捕手(27)だ。5-5で迎えた八回、54分間の降雨中断から試合が再開した直後、梵の犠打で1死二、三塁の好機をつくり、会沢が右中間へ勝ち越しの適時三塁打。今季初めて3点差以上をはね返す逆転勝利で、チームは後半戦初白星。順位は5位のままだが、首位巨人とは1・5差。頼れる強打の捕手が、チームを上昇気流に乗せてみせる。

 打った瞬間にガッツポーズが飛び出した。三塁に到達すると、跳び上がるように右拳を突き上げた。会沢がやってくれた。5-5の八回1死二、三塁。追い込まれながら、田島のフォークを捉えた。右中間への2点適時三塁打。試合を決めた。

 「すごくうれしかった。梵さんがバントを決めてくれた流れに乗って打てた。何とか前に飛ばそうとして、必死でした。投手を楽にさせたかった」。お立ち台で声を弾ませた。

 八回無死一、二塁で、降雨のため54分間中断した。「集中力を切らさないように気をつけた。相手の配球を考えていた」と再開に備えた。梵が犠打を決めた直後の打席、最高の結果を残してみせた。

 球宴MVPの称号はだてではなかった。18日に本拠地で行われたオールスターゲームでは、捕手として球団初の本塁打を放った。これが決勝点となり、球宴初出場でMVPを獲得した。「スター選手と一緒にやれて自信になった。僕はまだまだこれからだ、と思った。頑張らないといけないと、いいきっかけになった」。MVPの賞金300万円については「家族のために使いたい」。後半戦初めての先発マスクで存在感を発揮。家庭では良き夫、グラウンドでは頼れる女房だ。

 チームは今季10度目の逆転勝ち。3点差以上をはね返したのは初めてだ。会沢を後半戦のキーマンに指名していた緒方監督は「梵と会沢は中断でも、よく集中力を切らさなかった。前半戦にはなかった勝ち方だった。今までにない形だ」と振り返った。

 首位とは1・5差。この日3打点の会沢は「チーム一丸となって、てっぺんを目指す」と誓った。1つの星で順位が変動する混戦が続く。チームを、そして自分自身を勢いづける一打にしてみせる。

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