松山サヨナラG倒じゃ!前田智お膳立て

 「広島5‐4巨人」(21日、マツダ)

 広島は延長十一回1死満塁から松山竜平外野手(27)のサヨナラ内野安打で巨人から今季初勝利を挙げた。11年8月30日のヤクルト戦(神宮)以来、19試合ぶりの延長戦勝利(18試合7敗11分け)で再び借金1とした。ベンチ入り野手が全員出場した総力戦。チーム一丸で掴(つか)んだ勝利を自信に変え、23日から神宮でヤクルトに挑む。

 梵からはウオーターシャワーを浴び、菊池には跳び蹴りを食らった。手荒い祝福も心地よかった。松山がサヨナラ勝利を決める劇的一打。今季最多の2万9863人が拍手喝さいの中、チーム一丸でつかんだ勝利に酔いしれた。

 4‐4で迎えた延長十一回だ。守護神・西村を攻略した。1死から梵が四球で出塁。続く丸が右前打でつなぎ、中東は敬遠で1死満塁。ここで勝利を託されたのが代打・松山だった。

 打席に入る前、野村監督から「思い切り叩いていけ」とゲキを飛ばされた背番号37は、指2本分バットを短く持ち外角132キロのフォークに反応。叩き付けた打球はグラウンドで高く弾み、一塁手・ロペスのグラブの下を転がった(二塁適時内野安打)。

 「打った瞬間、正直ヤバイと思った。でもロペスがやったのが見えた。サヨナラは初めて。うれしかった」

 巨人戦は今季初勝利。さらに11年8月30日のヤクルト戦(神宮)以来、19試合ぶりの延長戦勝利に声を弾ませた。

 お膳立てはベテランの一振りだった。1‐4の七回。1点をかえし、なお2死二、三塁で代打・前田智だ。マシソンの初球、低め151キロの直球をジャストミート。衰え知らぬ打撃技術で同点の中前2点適時打を放った。これで代打通算打点は87。セ・リーグで吉村(巨人)を抜き8位タイとした一打に「一振りで仕留められた。勝って良かった」と喜びをかみしめた。

 この日、前田健とエルドレッドが故障のため出場選手登録を抹消された。エースと4番が離脱する緊急事態の中、ベンチ入り野手全員が出場しての白星に、野村監督は「選手をよくやったとほめてあげたい」と賛辞を贈った。

 松山は「2人の抜けた穴をみんなで埋めたい」と力を込めた。全選手の力を結集して手にしたサヨナラ勝利。全員野球で上昇気流に乗る。

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