左肩手術の苦難から始まった東海大甲府・田中楓真 「全部、うまくいく」心を奮い立たせてくれたキングダムの教え

 「全国高校野球選手権・2回戦、健大高崎1-0東海大甲府」(13日、甲子園球場)

 2回戦4試合が行われ、健大高崎が東海大甲府を1-0で下して2015年以来11年ぶりの3回戦進出を決めた。

  ◇  ◇

 八回の守備。東海大甲府・田中楓真は三塁ゴロを軽やかに二塁へ送る。併殺を完成させると仲間と笑顔でハイタッチを交わし、最終回の攻撃に力を与えた。「絶対に追いつきたかった。最後打てなかったのは自分たちの弱さ」と主将は涙をこらえきれなかった。

 3年間の高校野球は苦難から始まった。1年の6月、外野ノックでダイビングキャッチした際に左肩を脱臼。中学時代からの“脱臼癖”もあり、再発しないように手術に踏み切った。強豪校に入った直後に5カ月間のリハビリ生活。野球ができない生活がつらかった。

 試合に出て活躍する同級生を横目に「悔しい」気持ちが消えない。折れそうな心を奮い立たせてくれたのが、ある武将の言葉だった。

 「全部、うまくいく」

 大人気漫画「キングダム」に登場するカリスマ性を備えた秦国の将軍・桓騎が不利な状況下で配下に向けたひと言だ。田中楓は現状の自分を重ね合わせた。父にも「ケガから復帰した時につながってくる」と励まされ、前を向くことができた。

 懸命なリハビリから復帰すると、諦めない姿を評価され主将となり、甲子園の舞台にたどり着いた。劣勢でもポジティブな言葉を掛け続けてチームを鼓舞した。「人間的にも成長できた大会でした」。聖地に別れを告げ、前を向き、新たなステージへと歩んでいく。

 ◆田中 楓真(たなか・ふうま)2008年8月14日生まれ、18歳。佐賀県出身。168センチ、68キロ。右投げ左打ち。内野手。小学1年から軟式野球を始める。成章中学では硬式野球の佐賀ビクトリーでプレー。3年間で2度全国大会で優勝。東海大甲府では2年春からベンチ入り。

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