帝京16年ぶりセンバツ出場の要因 意識を変え保護者も感謝した“ノックバット事件”と“おにぎり事件”金田監督語る
第98回選抜高校野球大会(19日から13日間・甲子園)の出場校が発表され、秋の都大会で優勝した帝京が2010年以来、16年ぶりに選出。6日の抽選会では昨夏王者・沖縄尚学との開幕試合が決定した。21年秋からチームを率いる金田優哉監督(40)が語る、センバツ出場につながった要因とは。名門校の意識を変えた都大会での二つの“事件”に迫る。
名門校がようやく甲子園に帰ってくる。近年センバツへの出場こそなかったが、都大会では4強、8強入りと上位の常連だった。金田監督は優勝まであと一歩が届かなかった要因を「当たり前の事を当たり前にやること」と話す。「当たり前のレベルを上げること。それを特に2年生が理解してくれた」。昨秋の都大会が始まってから起こった“事件”が部員の意識をガラリと変えた。
10月12日に大田スタジアムで行われた専大付との初戦。試合前練習で部員がノック用のバットを学校に忘れた。金田監督は「ノックなしにするか、手投げでやるか」と悩んだ結果、他校に事情を話してバットを借りた。試合後以降に部員を叱る選択肢もあったが、チームの雰囲気を締めるため試合前に叱責(しっせき)。「どういうことや。負けろ、おまえら」。大切な練習道具を忘れてしまったことの重大さを伝え、あえて強い口調で大会への緊張感を促した中、試合は6-2で勝利。2回戦も圧勝し順調に勝ち進んだ。
そんな中、3回戦に再び事件は起こった。城東との試合の予定日が雨で延期。普段は練習後の試合前に補食としておにぎりを食べるが、試合がなくなり食べずに帰った部員がいた。指揮官が部室に入ると13個のおにぎりが机の上に“置き去り”に。「普段なら見逃して、次の日に話すと思う。でもその日のうちに」と大会への意識を強く持たせるために帰宅した生徒を呼び戻し、約2時間後に全員集合。1日の少しの怠慢が日々の怠慢につながる-。徹底して「当たり前」の大切さを伝え、これ以降は問題が起こることなく日々の姿勢も改善されていった。
「チームが死んだら終わり。いくら野球を頑張ってもダメ。それにようやく気づいてくれた」。“ノックバット事件”と“おにぎり事件”での、金田監督の言動行動を受け保護者からも感謝の言葉をもらったと言う。チームは野球や日々の取り組みに全力で向き合い都大会で優勝。きっかけとなった二つのできごとが“伝説の事件”となった。
帝京はセンバツに16年ぶり15度目の出場となり、指揮官は監督として初出場。6日の抽選会で、沖縄尚学との開幕試合が決定した。自身が帝京時代に出場した第84回の夏の甲子園では、沖縄県の中部商との開幕戦だったこともあり「ご縁を感じると」しみじみ。その上で「待っておられた方もいると思うので、さらに進化した帝京の野球を見てもらえたら」と話した。古豪復活を願うファンやOBに、一山越えた“帝京魂”を聖地で見せつける。





