前DeNA・三嶋が現役引退 難病「胸椎黄色靱帯骨化症」から復活で勇気届ける 今後は自身の経験伝える機会探しつつ野球を勉強
DeNAを昨季で退団した三嶋一輝投手(35)が現役引退を決断したことが17日、分かった。「明日をつかむために戦い続けた」という13年間のプロ生活。先発から始まり、中継ぎ、守護神と投手の全てを経験し、国指定の難病「胸椎黄色靱帯(じんたい)骨化症」からの復活劇では勇気を届けた。記録よりも記憶に残るプロ野球選手として、これからを後輩たちに思いを託す。
自分のためだけではない、誰かのために強くありたいと願った。戦い続けた三嶋が悩んだ末の決断を静かに下す。ギリギリまで居場所を探し、心は揺れ動いた。「毎日、明日をつかむためにやる」-。がむしゃらに、もがき続けたプロ13年間にそっと別れを告げる。
先発から、「生き残りをかける」と直訴して中継ぎに転向。何度も自分の力で道を切り開いてきた。だが、試練が訪れた22年1月。突然だった。歩くこともつらく、脚は上がらない。投げる度に嘔吐(おうと)し、ぼうこう障害は投げ終わりの1イニングで9回もトイレに走るほど苦しめた。
ただごとではない。病院を訪れ、医師から告げられた「歩けなくなるし、競技復帰は難しいだろう」の言葉に頭は真っ白になった。診断結果は国指定の難病「胸椎黄色靱帯(じんたい)骨化症」。サードオピニオンまで行い、8月には約5時間半に及ぶ手術を受けた。
奇跡の復活は23年。お立ち台から見た景色は、今も三嶋の宝物だ。27試合に登板し、復活勝利も手にした。「諦めそうになった日はない。トミー・ジョン手術みたいに、黄色靱帯(じんたい)も手術してリハビリしたら大丈夫だよってなってくれればいい。これからの選手たちのために、それを目標に頑張っていたんですけどね」。戦う使命を背負い、命を削る日々だったのかもしれない。
阪神・湯浅も同じ難病を抱えながら戦う一人だ。三嶋の姿に勇気をもらい、昨季は40試合に登板するなど復活を遂げた。その背景には、指揮官に就任したばかりの藤川監督の存在があった。「たまたまお見かけしたときにあいさつをさせてもらって、その後に1人で僕のところに話を聞きに来てくれたんです」。敵将の行動に心を打たれ、三嶋は自身の経験を正直に伝えたことを明かした。
現在は中日・福や楽天・鈴木翔など、同じ病に苦しむ選手が球界にいる。難病に立ち向かい、懸命に戦った三嶋の軌跡は彼らの指針になるだろう。DeNAから用意されたポストに感謝しつつも、今後は自身の経験を伝えていく機会を探しながら外に出て野球を勉強していくつもり。「野球一つでしか生きてきていないけど、だからこそ伝えられることもある」。最後まで諦めなかった現役続行への強い意思は、戦う場所を変えても熱く燃え続ける。





