高校野球のタイブレーク制度 有利なのは先攻か後攻か 決勝戦10試合の勝敗は

 「高校野球愛媛大会・決勝、済美4-3松山商」(29日、坊っちゃんスタジアム)

 済美が延長十回に及んだタイブレークを逆転サヨナラ勝ちで制して、7年ぶり7度目となる夏の甲子園出場を決めた。

 低反発バットの導入によってこれまでより接戦が増え、49試合の決勝戦の中で10試合がタイブレークに持ち込まれるという手に汗握る展開となった。

 無死一、二塁の継続打順から始まるタイブレーク制度。導入当初は後攻が有利という意見が多かったが、今夏の決勝戦の結果を見ると、10試合中、先攻が6勝で、後攻が4勝という結果になった。

 茨城大会では明秀日立が十回表に2本の適時打で2点を奪い、裏の守りで失策が絡んで1点こそ失ったが、最少失点差を守り切って甲子園切符をつかんだ。栃木大会でも先攻の青藍泰斗が2本の適時打で2点を奪い、裏の守りで打撃妨害で1点を失ったが、続いた無死満塁のピンチを必死に守り切った。愛知大会では豊橋中央が十一回表に2死二、三塁からの重盗などで3点を奪い、東邦の反撃を2点に封じて初の甲子園出場を決めた。

 一方、4勝の後攻では秋田大会の金足農、群馬大会の健大高崎が表の攻撃を無得点に抑え、裏にサヨナラ勝ちを飾った。中でも千葉大会の市船橋は、八千代松陰に4点を奪われながらも、その裏に5点を奪うという大逆転サヨナラ勝利を飾り、この日行われた愛媛大会でも、済美が十回に松山商に2点を奪われながら、相手失策と犠飛で同点に追いつき、最後は右翼線への適時打で7年ぶりの甲子園切符を勝ち取ったシーンがあった。

 愛知県の有力校指導者によれば「やっていて有利と感じるのは後攻ですね。先攻ですと、とにかく最低でも1点は取らなきゃいけないという強迫観念みたいなのがあって、自分などはどうしても送りバントを選んでしまいがちなんですよ。1点も取れないとなると、裏の守りのプレッシャーは半端ないものになるので」と語った。

 続けて「後攻ですと、表に大量失点した場合は少し違うかもしれませんが、相手に奪われた点数を見て攻撃が組み立てられる優位性を感じます。無死一、二塁から始まりますから、2点は覚悟の上で守ってますので、1点もしくは無失点に抑えてくれたら、格段に優位性は上がると思ってます」との持論を述べた。

 今夏を見れば、タイブレークの表に得点し、勝ったのが8校中6校。逆に表を無失点に抑えてサヨナラ勝ちを飾ったのが2校で、表に複数失点しながら逆転サヨナラ勝ちを収めたのも2校あった。

 この結果だけを見れば、先攻チームは得点すれば優勝の確率が上がり、後攻チームは表を無失点に抑えれば、優勝への道が開けるという図式が広がっている。

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