広陵3年連続夏切符 先発投手の堀田が九回2死から起死回生の同点打&10回1失点完投

 甲子園出場を決め、喜びを爆発させる広陵ナイン(撮影・市尻達拡)
 9回、左越えタイムリー二塁打を放つ広陵・堀田(撮影・市尻達拡)
 先発し、10回5安打1失点で、チームを甲子園出場に導いた広陵・堀田(撮影・市尻達拡)
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 「高校野球広島大会・決勝、広陵2-1崇徳」(26日、電光石火きんさいスタジアム三次)

 決勝が行われ、広陵が崇徳との激闘を制し、3年連続26度目の優勝を飾った。夏の広島大会3連覇は97~99年の如水館以来。先発の堀田昂佑投手(3年)が起死回生の同点打&10回1失点の熱投。「史上最弱」と言われた選手たちがチーム一丸で聖地への切符をつかみ取った。第107回全国高校野球選手権大会は8月5日に開幕する。

 苦しんでもがいた先に、最高の景色が待っていた。「史上最弱」のチームが広島の頂点へ-。マウンドにできた歓喜の輪を、中井哲之監督(63)は温かいまなざしで見守っていた。「劇的な勝ち方だった。よく頑張ってくれましたよ」と目尻を下げ選手をねぎらった。

 チーム一丸となってつかみ取った1勝だった。1点を追う九回。1死から草島絃太内野手(3年)が右前打で出塁すると、“代走の切り札”の主将・空輝星内野手(3年)が一塁へ。次打者への初球で悠々と盗塁を成功させ、右拳を握った。ベンチからはノーサインだったが「主将の自分が弱気になっていたら話にならない」と強気の姿勢がチームに勇気を与えた。

 2死となり、打席には堀田。「一番頑張っている空がセーフになってくれたので、絶対にかえしてやろう」と左翼フェンス直撃の適時二塁打を放ち、土壇場で試合を振り出しに戻すと、三塁側スタンドは大盛り上がり。タイブレークとなった延長十回には併殺間に勝ち越し点を挙げ、その裏を無失点で切り抜け、劇的な試合をものにした。

 堀田は同点打に加えて、10回5安打1失点、7奪三振と投打で躍動。準決勝・盈進戦でも7回1失点とエース級の働きを見せたが、今大会は背番号10を背負っている。実は右肘痛のため昨年12月から約3カ月、ノースロー調整。最後の夏を見据えて、「投げません」と中井監督に直訴し、体作りに専念した。

 冬場の“我慢”が功を奏し、大会前に復調。エースナンバーは譲ったものの、「背番号は関係ない。チームが勝てばいいと思っている」ときっぱり。1年の夏から甲子園のマウンドを経験した右腕が、最後の夏に完全復活を果たした。

 チームは昨秋の県大会で2回戦敗退。今春の県大会でも決勝で敗れ、指揮官から「史上最弱世代」と言われ続けた。昨年の絶対的エース・高尾(トヨタ自動車)のような飛び抜けた選手はいない。だからこそ磨いてきた“結束力”はどこのチームにも負けない自信がある。「メンバーの20人やマネジャーだけじゃなく、控えの部員、スタンドの力も借りて一丸となってやってきた。ここからも日本一に向かって全員で戦います」と空主将。史上最弱世代の逆襲は始まったばかりだ。

 ◇堀田 昂佑(ほった・こうすけ)2007年7月11日生まれ、18歳。広島県広島市出身。183センチ、81キロ。右投げ右打ち、投手。小1から三篠ベアーズで野球を始め、中広中では廿日市ボーイズに所属。今年4月には侍ジャパンU-18日本代表候補選手強化合宿に参加。最速145キロ。持ち球はストレート、カーブ、スライダー、チェンジアップ。

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