巨人・田中将の復活へのカギとは? 「もっと奥深い投球を見せられる。普通に終わってほしくない」 日本一貢献投手が期待
「オープン戦・阪神2-8巨人」(9日、甲子園球場)
1985年の日本一に貢献するなど阪神投手として活躍した中田良弘氏が、新天地で復活を目指す巨人・田中将大投手の投球をチェック。実績も経験も豊富な右腕に、モデルチェンジして復活を期待した。
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楽天時代やメジャーでの田中将の投球を知っている人からすれば、今回の投球を見ると捉えられる打球も多く、「あまりボールがいっていないな」、「すごくコントールがいいわけでもないな」と感じた人はいると思う。
確かにそういう印象はあった。ただ、新たに加入した巨人で久保巡回投手コーチの下、春季キャンプからフォーム固めに取り組んでいる過程でもある。むしろ、私は今後が楽しみだ。
今は球威を戻すためにフォームを固めているようだが、田中将はもう36歳。球速があった投手が、モデルチェンジするかどうか葛藤する時期だ。私はモデルチェンジして、新しい投球スタイルを目指してもいいと思う。
この日の投球を見ると、投げ終わった後に左足一本で立っている場面が目立った。目いっぱい投げた時は左足で踏ん張って右足がついてくるのだが、あの投げ終わりを見ると「7、8分ぐらいの力感で投げているんだろうな」と感じたし、「モデルチェンジしようとしているのかな」という印象を受けた。
田中将はもともとコントロールがいいし、いろんな球種を操れるから、きょうのような力感でも抑えられる。この試合は序盤は140キロそこそこだったが、力を入れた時は145キロが出ていた。フォームが固まって球威が戻れば、変化球も生きるし、モデルチェンジしてもっと奥深い投球を見せられると思うし、見せてもらいたい。
投手心理からすると、特に田中将のように剛腕としてならした投手なら、ストレートがいかなくなったり、抑えられていた球が打ち返されたりすると葛藤が生まれる。「ああ、もうあかんのかな」と思いながらも、スタイルを貫いて辞めていった人はたくさんいる。
田中将はヤクルトの石川のように最初から打者のタイミングを外すような投球スタイルじゃないから、技術的にもモデルチェンジは難しい面もあるとは思う。
でも、楽天でもメジャーでもあれだけの実績を残したし、経験も豊富。まして、注目度が高い巨人に飛び込んでまで復活を目指すわけだから。新しいスタイルを確立すればまだまだやれると思うし、普通に終わってほしくないよね。




