「ヤクルト１－３巨人」（９日、平和リース球場）

　桜島に向かって吹く風が、ボールにひと伸びを加えた。鹿児島の夜空に高々と舞う白球がスタンドに届く。劣勢を引っ繰り返した逆転Ｖ打に、勝利を決定付ける２号ソロ。全３得点をたたき出したのは巨人の４番・岡本和真内野手（２７）のバットだった。地方の鬼、鹿児島の鬼が連勝を導き、チームは５割復帰だ。

　「伊織（山崎）も粘って投げてくれていたので、ランナーをかえすことができてよかった。鹿児島の空気が合っているんでしょう」

　笑顔で振り返ったのは五回の攻撃だ。１死二、三塁で巡った第３打席。初球から積極スイングで空振り、ファウル後の３球目。外のスライダーに左手を伸ばし、左前に運んだ。バットの先、折りながらの逆転２点打となった。１点リードの七回には左翼スタンドに２号ソロ。反撃の流れを断った。

　同地では５試合で打率・３５３、３本塁打と無類の強さを誇る。さらに打率・３７８、９打点はリーグ２冠。「今の時点の数字は気にしていない」と言うが、１試合１打点を目標に掲げる今季、好スタートだ。鹿児島の偉人と言えば…「西郷隆盛ですか？僕のオトンがめっちゃ似てるっていうね」と岡本和。４番はバットもトークも絶好調だ。