星稜 合言葉は「石川負けんぞ!」山下監督「県勢2校が続けて負けるわけには」被災地に届けた2年ぶり8強

 「選抜高校野球・2回戦、星稜3-2八戸学院光星」(25日、甲子園球場)

 1回戦1試合と2回戦2試合が行われ、星稜が今大会8強一番乗りを決めた。同じ石川県勢の日本航空石川の敗戦を糧に「石川負けんぞ!」を合言葉に勝利。元日に起きた能登半島地震の被災地に再び勇気を届けた。阿南光はエース右腕・吉岡暖投手(3年)が2試合連続完投&2桁奪三振をマーク。全部員が徳島県出身の地元集団が、前身の新野時代を含め春夏通じて初の8強入りを果たした。

 石川県のために-。星稜は“禁句”を解禁し、22年以来2年ぶりの春8強にたどり着いた。勝利に沸くアルプススタンドに駆け出し、ナインは雄たけびを上げた。

 「石川県勢が2校続けて負けるわけにはいかなかった」と山下智将監督(42)。前の試合では日本航空石川が敗退。ともに能登半島地震で学校が被災したチーム同士であり、“仲間”の奮闘に勇気をもらった。

 初回1死二塁から主将・芦硲晃太外野手(3年)の中前適時打などで2点先制。三回に追いつかれるも六回2死二塁で中島幹大外野手(3年)が勝ち越しの左前適時打。野手陣は失策0で好守も連発し、接戦をものにした。

 「子どもたちが被災者のために、というのは重すぎるのではないか」。大会前、指揮官は葛藤を抱えていた。職員も亡くなり、部員も悲惨な現状を目の当たりにしていたからこそ、重い使命を背負わせることにためらいがあった。

 転機となったのは雨天順延となった23、24日の2日間。被害を受けた石川県高野連に加盟する球児が甲子園に足を運んだ姿に胸を打たれた。「こんなところまで来てくれてうれしかった。(選手たちに)『石川県頑張るぞ』ということを発してしまいました」。元日からあえて封印していた指揮官の思いにナインは奮い立った。

 「石川県負けんぞ!」。ベンチで合言葉が飛び交う中でチームは結束。被災地への思いを自らで背負い、その重圧をはねのけた。「石川県が好きで能登が好き。うちが勝ち上がることによって元気になるのであれば頑張りたい」と山下監督。託された使命を力に変え、被災地に勇気を届け続ける。

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