「コントロールのない投手は1軍で投げさせるべきではない」阪神・近本への死球で佐藤義則氏が指摘 昔あった故意死球「今はない」

 阪神・近本が3日のヤクルト戦で右脇腹に死球を受け、5日からの中日2連戦を欠場することになった。ヤクルト戦では8月13日にも梅野が死球を左手首に受けて骨折、長期離脱している。岡田監督はヤクルト側に「情けないのお。2年連続優勝のチームなのに。あきれるよなあ」と怒りをにじませた。デイリースポーツ評論家の佐藤義則氏(68)は「コントロールのない投手を1軍で投げさせるべきではない」と持論を語った。

  ◇  ◇

 ヤクルト・山本の近本への死球はシュートを投げようとして、それがすっぽ抜けて当たってしまった。一部では「故意の死球では」といぶかしむ声もあるようだが、ヤクルトは5位に低迷していて、優勝もCS争いも関係ない。試合展開を見ても7点差の九回にわざわざ当てる理由が見当たらない。そもそも今の時代、故意で死球を当てるなんてどのチームもやっていないと思う。梅野の死球も今回の近本の死球も、投手の投げ損ないがこういう結果を招いた。

 私が現役の頃は、確かに「やられたらやり返せ」という方針がどのチームにもあった。投手の立場から言えば、故意にボールをぶつけるなんて本当に嫌だったし、ケガはもちろん、当たり所によっては選手生命さえも奪いかねない。できることなら、そんな危険な球は投げたくなかった。しかし、ぶつけられた野手陣がそれを許してくれなかったし、そうすることがチームのためでもあった。

 今の時代は、選手もみんな球団の垣根を越えて仲がいいみたいだし、オフに一緒に自主トレしたり、日本代表でチームメートにもなったりする。もちろん、いいバッターを抑えるために厳しいコースを攻めるのは当たり前で、結果的にそれが死球になってしまうことはあっても、故意に当てることはない。

 ただ、故意じゃなければ当てていいってことではない。1軍で投げる投手は、やっぱりそれなりにしっかりと技術とコントロールを身につけた投手じゃないと、試合に出してはいけないと思う。コントロールの悪い投手が簡単に投げ損なって当ててるようじゃ打者もたまったもんじゃない。サインを出す捕手もそう。内角攻めは必要だけど、コントロールの悪い投手に2球も3球も続けて内角のサインを出すのもどうかと感じる。結局、そういう投手は内角に投げきれず、甘く入って打たれたり、四死球を出して自分で自分の首を絞めることになる。そういえば、以前、落合博満さんも「内角がダメといっているわけじゃない。当てない制球、技術を持った投手だけが、内角を攻める資格がある」みたいなことを話していた。

 ヤクルトはリーグワーストの58死球(4日現在)。ヤクルトの球団専務は「要はヤクルトの投手がヘタクソということ。ギリギリを攻められる技術がなかった」と説明したようだけど、そういう投手を投げさせて、相手選手にケガをさせるのもどうかと思う。岡田監督の怒りもそこにあるのではないか。防御率を見てもヤクルトはリーグワーストの3・74。投手陣全体のレベルが低いというのも今回の死球騒動とは無関係ではないだろう。

 近本は2度目の右脇腹への死球。今回は打撲なので長期離脱は避けられそうな感じだけど、優勝も近づいている中、こういう形で試合に出られなくなるのは、さぞかし無念だろう。1日も早い回復を願っている。

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