投手・根尾は「桑田になれるかもしれない」-2018年ドラフトで、こう評価していた阪神フロント

 8日のウエスタン・阪神戦で中日・根尾昂外野手が九回に登板。最速150キロを計測するなど、二刀流としての片りんをのぞかせた。大阪桐蔭時代は投手兼遊撃手で同校の春夏連覇に貢献。ドラフトが近づくにつれて、他球団のスカウトを含めて色んな評価を聞いた記憶がある。

 その中でも印象に残っていたのが阪神の畑山チーフスカウト(当時・現統括スカウト)が語った「桑田になれるかもしれない」という一言。根尾の身長が177センチとプロの投手からすれば小柄なこと、「とにかく強く振れる」と魅力的なフルスイングをしていたことから野手で評価する声が圧倒的に多かった。そんな中で「投手・根尾」を評価する理由を聞いた。

 一つはメンタル面。春のセンバツでは2年連続で胴上げ投手になるなど、甲子園の大観衆を前にした中でも動じること無く自分の投球に徹することができる精神的な強さを評価していた。

 もう一つはチームを勝ちに導くことができる投球センス。この場面でやってはいけないこと、チームが勝つために何が必要かを考えて一球一球を投じる姿を見て「すごくマウンドで映える選手」と同チーフスカウトはたたえていた。

 野手としても評価する一方で、ドラフトに向けて投手としての可能性も徹底的にリサーチ。マウンドで躍動する根尾の姿と、かつてPL学園時代に5度の甲子園出場を果たし、歴代1位の通算20勝をマークした桑田氏をダブらせた。桑田氏も身長が180センチに満たない中、類い希な投球センスとボールのキレ、抜群の制球力でプロ通算177勝を記録。ルーキーイヤーから2勝をマークし、3年目で開幕投手を任されるなど身長=実力ではないことを証明した“前例”があった。

 その年、阪神はドラフトへ向けて様々な可能性を探究していた。その一方、チームは最下位に転落し、チームを率いた金本監督が辞任。新たに矢野監督を据え、抜本的な改革に乗り出す中、野手のセンターライン強化のため大阪桐蔭・藤原を1位指名。最終的に外れ外れで大阪ガス・近本の交渉権を獲得した。

 あれから4年、甲子園で根尾が投げる姿を見て当時のエピソードを思い出した。2018年は阪神でヘッドコーチを務めていた中日・片岡篤史2軍監督が、自身のYouTubeチャンネルで「いろんな可能性を見つけてあげるのが私たちの仕事」と説明していたのも興味深かった。

 投手であれ、打者であれ、1軍の舞台で活躍するのがプロ野球選手の本懐。そのために何が最善か-。「投手・根尾」の可能性がどこまで花開くか、これからが楽しみだ。(デイリースポーツ・重松健三)

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