馬場敏史氏「聖隷クリストファーのセンバツ落選理由に違和感」
冬季オリンピックが終わるとプロ野球のキャンプも終盤となり、オープン戦が本格化。3月に入れば早々にセンバツの抽選があり、ファンは「球春」の到来にわくわくするだろう。一方で、今年はもやもやもある。秋季東海地区大会で準優勝を果たした聖隷クリストファー(静岡)がセンバツに選ばれなかったこと。国会でも取り上げられるなど、今だ議論となっているこの問題に、今年からアマチュアの指導にもあたるプロ野球OB・馬場敏史氏(57)が言及した。
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私は学生野球資格回復の認定を受けて、早速、関西六大学連盟に所属する神戸学院大で指導にあたる機会をいただきました。
それまでにも、ボーイズリーグのコーチをしていましたが、学生となるとまた、違った印象を受けるものです。こちらも、これまでの経験で持っているものを伝えたいと思って神院大のグラウンドに行くのですが、選手たちの真剣な目つき、取り組む姿勢がとても新鮮で「いいな」と思わされました。
彼らが持っているものを、グラウンドで出させてあげたい。そう思えて、とてもやりがいを感じながら指導させてもらっています。
大学生でも、これほど純粋に、野球に向き合っています。高校生となれば、なおさらでしょうね。
なぜなら、私も柳川高校時代に目指していましたが、彼らには「甲子園」という特別な目標があります。そのために、文字通り血がにじむような努力を重ね、個人の力を磨き、チームとしてまとまっていく。それが高校野球の姿です。
ところが今回のセンバツでは聖隷クリストファーの落選が大きな話題になっています。真相は分かりませんが、落選理由に「個々の能力の差」、「甲子園で勝てるチーム」ということが挙げられました。
しかし、先述したとおり、努力を重ねた結果として、聖隷クリストファーは選ばれてしかるべき成績を残しました。選手はみんな、夢の舞台に立てると思っていたはずです。
伝わって来た落選理由も、どうでしょうか。「個々の能力」、「勝てるチーム」。個々の能力が低くても、チーム一丸でそれを跳ね返すのがチームスポーツたる野球の本質です。
ましてや「勝てるチーム」など、誰に分かるでしょうか。
つい半年前、前年最下位のヤクルトとオリックスが日本シリーズを戦ったのです。これを予想できた人はほとんどいない。それでも素晴らしい日本シリーズでした。プロですら、こういうことが起きる。
落選した選手がかわいそうでなりません。同時に「大人がしっかりしなきゃ」とも感じました。大学での指導を通じて、そうした理不尽に遭うことなく、いろんなことを学んでもらいたいな、と意を強くしているところです。




