【野球】「プロ入り」ではなく「プロで活躍する」ために進学を選んだ2人の左腕

 1月末から2月上旬にかけて、今春から大学野球でプレーする高校3年生が続々と各チームに合流した。昨年のドラフトでは、1位に4投手が名を連ねたハイレベルな世代。プロ志望届を出せば指名濃厚だったにもかかわらず、進学を選んだ選手も少なくない。

 早大に入学する木更津総合の早川隆久投手は、甲子園に3度出場。昨年は春夏ともに8強入り。夏は2試合連続完封を飾った。球速以上の伸びを感じさせる最速144キロの直球が最大の武器。制球力、落ち着いたマウンドさばきを兼ね備え「高校生左腕では一番」と評価するプロのスカウトもいた。

 東京六大学志望だった早川は、自身の進路選択に納得した試合があったという。高校日本代表として臨んだ大学日本代表との壮行試合。地元・千葉で先発し、2回5失点で降板した。甲子園の疲労の影響も見て取れたが「レベルの差を感じた。大学で成長したいと思った」と、潔く受け止め、意志は揺るぎないものになった。

 法大に入学する常総学院・鈴木昭汰投手も甲子園出場3度。昨夏はヤクルトのドラフト1位・寺島を擁した履正社を破り、8強入りした。最速144キロの直球と鋭いスライダー、強気な投球が光る左腕を評価するスカウトも少なくなかった。プロ志向が強く、甲子園で敗れた直後も「プロしか考えていなかった」と振り返る。

 気持ちに変化が生まれたのは、昨夏甲子園後に高校日本代表入りを逃した時だった。中3時もU-15日本代表を経験。高校日本代表もセンバツ後の1次候補には入っていた。日の丸への思いは強かっただけに、ショックは大きかった。だが、ここで再認識したという。「実力がないなと。プロに行けたとしても、行っただけで終わっちゃう」。1カ月間悩み抜いた末に「大学に行って実力をつけよう」と翻意した。

 華やかに見えるプロの世界。だが、生き残れる選手はほんのわずかなのは言うまでもない。進学を決めた経緯こそ違えど、18歳の2人に共通していたのは、すでに目線を「プロ入り」ではなく「プロで活躍する」ところに置いていたことだ。自分の実力、課題、取り組むべきことを客観的に捉え、冷静に判断することができる。それは成功する選手の条件といっていいだろう。

 早川は在学中に学びたいことについて、栄養学や心理学を挙げる一方で「技術面どうこうより、まずは環境にどれだけなじめるか。生活面のサイクルを確かめつつ、やっていきたい」と、成績の目標は掲げなかった。しっかりと地に足が着いた答えに、思わず感心させられた。

 2人だけでなく、東洋大には昨春センバツ優勝右腕の智弁学園・村上頌樹投手が、慶大には昨夏甲子園準V右腕の北海・大西健斗投手が入学する。4年後は1位指名でプロ入りし、その先も長く活躍できる選手になれるように-。明確なビジョンを持って臨む大学野球の4年間で、彼らがどんな成長を見せてくれるのか楽しみだ。(デイリースポーツ・藤田昌央)

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