立浪中日は“音無し”の構え 広島は元気ハツラツ「対照的なチームカラー」と高代氏

 プロ野球のキャンプはチームの個性が反映されるものだが、立浪中日は静寂そのもの。沖縄キャンプ地訪問を終えた高代延博氏(デイリースポーツウェブ評論家)は広島と中日の練習風景の違いに触れ、「実に対照的なチームカラー」と驚きを隠さなかった。

 ◇  ◇

 テレビの仕事もあって、いくつかの球団を訪問したんだけど、広島と中日の練習風景はまったくと言っていいほど違っていて、実に対照的なチームカラーという感じだった。

 広島は若い選手が多いこともあってか、よく声を出している。これは昔からだが、とにかくこのチームは活気に溢れているね。

 こういう時期でもあり、選手や関係者に声をかけることができないので、スタンドから見守るしかなかったが、中堅の野間や堂林も負けていないという空気も伝わってきた。

 鈴木誠也が抜けたことで“オレが”という気持ちもあるのかな。伸び盛りの若手との競争も活気を生んでいる理由でしょう。

 私が訪問した日、栗林がシート打撃に登板していたが、もう完璧だったね。ストッパー健在。今年は制球力アップを意識しているようだが、なるほど30球ほど投げて、明らかなボール球は1球もなかったし、打球がまともに弾き返されていなかった。

 その日はたまたま雨が降っていたが、それでも広島の練習は元気ハツラツだったね。

 正反対の印象を受けたのが中日。こちらは“音無し”の構えというか、静寂のなかで野球をやっているようだった。

 キャンプ初日、立浪監督が“無駄口を慎もう”という考えを選手に伝えていたが、それがチームカラーとなって表れているのかもしれない。

 しかし、取り組んでいる練習からは「目的と意図」がはっきりと見えてきた。

 例えば一死三塁を想定したケース打撃。内野ゴロが飛んだ場合はギャンブルスタートを切るのだが、そのタイミングを計る練習を打者と走者を入れ替えて入念に行っていた。

 またカウントで追い込まれた状況からの対応も実戦さながらだった。2ストライクを取られたあと、その打席をどう生かすのか。三振は最悪。バットに当てれば何が起こるか分からない。

 中にはたった1球で打席を終える選手もいた。おそらく見逃し三振だったのだろう。中村、森野両打撃コーチが細かく声をかけアドバイスを送っていた。

 昨シーズン、中日は得点力不足が顕著で接戦を落とすことも多かった。いくらチーム防御率がトップでも、点を取らなければ上位は望めない。平凡なゴロでも1点をもぎ取るという姿勢は必要だ。

 キャンプ期間中に個人の打撃技術を急激に高めるのは難しい。個人練習とは別に、こうした全体練習の中で、足を絡める意識を植えつけていこうという考えなのだろう。

 小さな野球とは対岸にあるスケール大きな選手もいたね。ドラフト2位で入団した新人の鵜飼はいいスイングをしている。ケース打撃で右中間方向へ素晴らしい打球を飛ばしていた。

 日本ハムとの対外試合では左翼へ大きな本塁打を放っていたが、あのパンチ力は魅力的だ。

 また3年目の石川もいずれ4番を打てる好素材。練習試合では三塁を守っていたが、私が訪れた日は阿部と一緒に二塁の練習をしていた。

 彼は柔らかいグラブさばきが特長でスローイングもいい。落ち着いていて、守備は遊撃を守れるくらい本当にうまいですよ。

 静かな中にも練習から明確な意図を感じさせる立浪中日。目立たないようで、逆に強烈な独自色を放っているようにも思えたね。

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