広島商 20年ぶりセンバツ切符!22度目の春 目指すは91年ぶりの全国制覇
「選抜高校野球・選考委員会」(28日、大阪市内)
第94回選抜高校野球大会(3月18日開幕、甲子園球場)の選考委員会が28日、大阪市内で行われ、広島商の20年ぶり22度目の出場が決まった。昨年の秋季中国大会で準優勝したことが評価された。チームの持ち味は終盤の粘り強さだ。荒谷忠勝監督(45)は「強い選手を育てる」をテーマにチームを指揮してきた。“逆転の広商”が1931年以来、91年ぶりの全国制覇を目指す。広陵も3年ぶり25度目の出場を決めた。
スター選手はいない。全員で勝ち取った20年ぶりの春切符だ。広島商ナインは吉報を受け、マスク越しに笑顔を見せた。荒谷監督はチームを代表して感謝の思いと大きな目標を言葉に変えた。
「選手が頑張ってくれました。広商を支えてくれた方々に良い報告ができる。感謝の気持ちでいっぱいです。やはり、出るだけではなくて当然、優勝を目指してやっていきます。そのためにはまず1勝を確実にできるように選手とともに練習に励んでいきたい」
“逆転の広商”だ。昨秋は県大会、中国大会で勝利した8試合中5試合が逆転だった。象徴的だったのは中国大会準決勝の倉敷工戦。2-5の八回に一挙7得点し、9-6で決勝進出を決めた。
「うまい選手よりも強い選手を」。18年夏から指揮を執る荒谷監督の指導が、数多くの逆転勝利に結び付いてきた。
「強いというのは動じないというか、粘り強さがあること。どんな状況でも自分たちの野球をやり抜けるのが強い選手。去年の秋は、それがうまく出たと思います」
新型コロナウイルスの影響があり、これまでと違った練習時間やメニューを余儀なくされてきた。制限がかかる状況をプラスに捉えようと促してきた。
「オンラインのミーティングとかでは、『自分が本当の意味で強くなれるチャンスだ』と言ってきた」。全員がそろっての練習では1球に対する集中力がこれまで以上に高くなった。個別練習でも常に高い意識がうかがえた。劣勢をはねのける強さは日々の積み重ねだった。
前回出場した2002年大会は準々決勝で鳴門工に1-19で敗れた。過去春夏通じて7度の優勝を誇るが、センバツでの日本一は1931年の一度しかない。
「素晴らしい舞台で野球ができる。良い準備をして初戦を迎えたい」。荒谷監督は力を込めた。夏を含めた大正、昭和、平成、令和と4元号での白星にも期待がかかる今大会。粘り強く戦い、聖地で名門が勝ちどきを上げてみせる。


