楽天・田中将“悔投”しても変わらない姿勢 メンタルのブレ「仲間から見ててなかった」

 楽天・田中将
 5回途中で降板する楽天・田中将=10月17日、楽天生命パーク
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 デイリースポーツの記者が今年を振り返る企画「番記者ワイドEYE」。今回は楽天・田中将大投手(33)の今季の苦悩を象徴する場面についてです。楽天担当・畠山賢大(24)が8年ぶりにチームに復帰した右腕を振り返る。

  ◇  ◇

 歴戦の右腕でも感情を抑えることができなかった。10月17日の西武戦(楽天生命)。今季自己最短の五回途中8安打5失点でKOされた田中将はベンチに戻ると、グラブをベンチにたたきつけた。「我慢していた部分がはじけたのかなという風に見えた」と小山投手コーチ。後半戦、まさかの未勝利で終えた。好投しても勝てないもどかしさを象徴するシーンだった。

 それ以上に印象に残ったのは、その試合後の右腕の対応だ。このような“悔投”をした後はノーコメントか球団を通じたコメント対応が一般的。そんな中、試合後に囲み取材に応じ、自身のユーチューブチャンネルも更新。この姿勢はシーズン通して一貫していた。

 「皆さんが思っているようなストーリーは僕にはないと思いますよ」

 そんな謙遜の言葉を時には漏らしながらも、自分の言葉でファンに思いを伝えるという使命感は、勝てない時期が長く続いても最後まで薄れることはなかった。

 同僚で守護神の松井は「いいピッチングをした時もそんなに良くない時も、変わらないというか、本当にメンタルのブレっていうのが仲間から見ててなかった」と右腕のすごさを振り返る。結果に左右されない冷静でフラットなメンタルはロッカールームでも取材対応の場でも同じ。だからこそ、なおさら冒頭のワンシーンは衝撃的だった。

 結局、今季を4勝9敗で終え「こんなに苦しんだシーズンはNPB、MLB両方でプレーしていてもなかった。とにかくつらかった、しんどかった」と田中将。苦闘の足跡は投球フォームにあらわれており、目に見えない細かなところも含めれば全登板でフォームを変更し、試行錯誤を重ねていた。

 結果だけを見れば不本意な一年となったことは間違いない。だが、転んだままで終わる男ではないことは過去の実績から見ても明らかだ。

 12月3日にはチームへの残留を発表した。メジャー複数球団が右腕に興味を示していた中での早期決断は覚悟の表れでもある。今季の経験を、どう肥やしにして生かしていくのか-。NPB復帰2年目である来季こそ、背番号18の真価が発揮されると思っている。

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