高知商は決勝進出ならず 明徳義塾を追い詰めるも逆転負け
「高校野球高知大会・準決勝、明徳義塾10-8高知商」(26日、春野総合運動公園野球場)
敗れた試合後、高知商の4番・嶋村麟士朗内野手(3年)の目に涙はなかった。
昨秋の四国王者・明徳義塾を追い詰めた。初回、センバツでも好投した明徳義塾・代木大和投手(3年)から、山本遼汰朗内野手(2年)の先制適時打などで3点を奪うと、四回まで毎回得点を重ね、エース左腕をマウンドから引きずり下ろした。しかし投手陣が明徳義塾打線に捕まり、逆転を許すと、打線も2番手の吉村優聖歩投手(2年)を打ち崩せず。僅差で涙をのんだ。
「楽しかったです」。試合後、嶋村はすっきりした顔で言い切った。「新チームになったときは、県で4強にも入れないと思った。でも明徳とここまでやれた」。やりきった。その思いが心を埋め尽くした。
昨年の夏、甲子園がなくなり、県の独自大会には3年生だけで出場することに。前チームでも主力だった嶋村はベンチを外れ、当時の山下真生主将は「嶋村たちと戦いたい気持ちもあった」と、複雑な思いを吐露していた。独自大会後、先輩たちから「お前らならやってくれると思ってる」と、思いを託された嶋村。先輩と自らの夢をかなえることはできなかったが、悔いはない。「チームとして成長できたことが一番うれしい」。充実感の中で高校野球生活にピリオドを打った。